すべてが
やさしさに
包まれて
おだやかに
笑えばいい

「海は怖いね」




ぽつりと娘、ナマエが呟いた。陸で暮らす彼女には、きっと海を渡る事は出来ないだろう。




「今はこんなに穏やかなのに」




ざざん、と波が寄せては消えゆく。つい先日の嵐が嘘のように、浜辺は静かだ。




「怖くないの、ジンベエさんは」




不意に聞かれて、そうじゃなぁ、と思案する。海に生まれ海に生きておるから、そういうものだと思っているぞ。そう言えば、答えになってないよ、と苦笑された。




「ならば、ナマエはどうじゃ。山は怖いか」

「迷ったり、獣に襲われたりすれば怖いだろうけど」




答えになっとらんぞ、と苦笑すれば、お互い様だね、とナマエは笑った。つまり、わしらを取り巻く自然とはそういうものなのだ。居場所にもなるし、恩恵を享受する事も出来るが、驚異にもなりうる。




「怖がるだけじゃ、駄目ってこと?」

「生きていく限り、そういう事になる」




大変だね、とまたぽつり。大変じゃなぁ、とわしもぽつり。ざざん、と波が呟きを攫って行く。




「…でも、ジンベエさんが居てくれるなら、私は頑張るよ」

「おぉ、そうか。わしに出来る事なら何でもするからな」




ありがとう、とナマエは笑った。嗚呼、そうだ。おぬしのそんな笑顔が見たかったのだ。






すべてがしあわせに包まれておだやかに笑えばいい
祈りは波にとけて








復興祈願によせて。
ジンベエさんなのは、寝てみる夢に出てきた記念。

アニメでちらっとしか会えてないので、一人称やら口調やら違ったら申し訳無い。

1日でも早く、タイトルのようになれれば良いなぁ。日本も、世界も。


title thanks:まばたき


20110331
天倉