灰色
ラブソング

手には十手ではなく花束。口に葉巻は無く、背に正義の文字も背負っていない。そんな珍しい姿のスモーカーは、週に一度だけ見ることが出来る。彼の向かう先は、とある病院だった。




「よお」

「あら、スモーカーさん。こんにちは」




白い病室の中、1人の女性がベッドの上で体を起こし、静かに読書をしていた。入り口から顔を覗かせるスモーカーを見ると、にこりと微笑する。スモーカーはゆっくりと病室へ足を踏み入れた。



「調子はどうだ、ナマエ」

「最近とても良いのよ。貴方のお陰ね、きっと」

「…さぁな。ほらよ」




無造作に放った花束は、ナマエの膝上にぱさりと乗った。ナマエはそれを手に取ると、くんくん香りを嗅ぐ。その様子は何だか犬猫の様で、スモーカーは思わず口の端を緩めた。




「良い香り。とても綺麗だわ。ありがとう、スモーカーさん」

「…あぁ」

「毎週大変でしょう?お仕事も忙しい筈なのに」

「構わねェよ。…来てェから来てんだ」

「そう。なら良いんだけれど」




クスクスと嬉しげに笑みを零すナマエに、スモーカーは苦々しく顔をしかめる。すい、と口元に手をやるが、そこに葉巻は無い。行き場を失った手で頭をがしがし掻きながら舌打ちすると、窓際に歩み寄った。




「サッサと治して退院しろ。此処に来る度禁煙しなきゃならねェ」

「…そうね。頑張らなきゃ。スモーカーさんが葉巻を吸う姿、もう一度見たいもの。好きだから」

「……、そうかよ」




ナマエの穏やかな声に、スモーカーは小さく振り返る。淡い陽光に照らされたナマエの笑う姿は、どこか儚げで。抱き寄せたい衝動を抑え込み、スモーカーはぼそりと呟いた。





灰色ラブソング
空の下で笑うお前が好きだ





(…お前にこんな白い場所は似合わねェ)
(そうね。白は貴方の方だわ)
(また来る)
((だから、死ぬんじゃねェぞ))




初煙さん。似非なのは百も承知なんだぜ…orz

ヒロインの病気は不治なのか重病なのかはお任せ。一般人なのか海軍なのかもお任せです←


煙さんは恋愛には不器用なイメージ。素直に好意を伝えられない、みたいな。でもツンデレって訳じゃない。難しい\(^O^)/


title thanks:Largo

2010/09/10
天倉