苦い
くらいが
ちょうど
いいのよ


寒かったので何か温まるものでも飲もうと、キッチンでごそごそしていると、物音を聞きつけたのかレイリーが様子を見に来た。


「何を作っているんだい、ナマエ?」

「ホットチョコレート」

「道理でカカオの匂いがすると思ったよ」

「ごめんね、換気扇回してなかった」



構わんよ、と柔く微笑まれてくすぐったく思いながら、最後にマシュマロを乗せて完成だ。早速一口飲もうとすると、何故かレイリーにカップを奪われてしまった。



「レイリーも欲しいの?なら作るけど」

「いいや」



そう言いつつ彼は優雅にカップを口に運んで。




「……なかなか苦いな、これは」

「私、甘いの苦手だもの」

「チョコレートは甘いものだろう…」

「決めつけはいけないと思うよ」



眉根を寄せているレイリーからカップを取り戻し、やっとホットチョコレートで一息ついた。苦々しげに私を小さく睨む彼からそろりと離れようとすると、やんわり抱きしめられてそれは叶わない。なぁに、と彼を見上げれば、にこりと楽しそうな笑みを浮かべている。嗚呼、何だか嫌な予感。



「これはどうやら口直しが必要だな」

「水か…ミルクでも飲む?」

「…いや、君が良い」



あ、と思う間に口付けられた。最初は唇を食むようにやわやわと、次第に深く深く。カップを落としそうになったけれど、レイリーはそれに気付いて口づけを止めた。




「甘いな、とても」

「…いきなりは嫌なのに」

「はは、すまない。…だが、今は満更でもないだろう?」

「……まぁね」




カップを置いて、レイリーの首筋に腕を回した。きっと彼が満足する頃には冷めてしまっているだろうけれど。レイリーが嬉しそうだから良いか、なんて。





苦いくらいがちょうどいいのよ
甘やかしてくれるでしょ?







拍手放置文…その五くらい←
見切り発車で初レイリーさんでした。
大人の包容力でとにかく甘やかして頂きたいですね!


title thanks:魔女のおはなし

2013/01/12
天倉