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「名前!ごめん!しばらく泊めて!!」

いきなりインターホンが鳴って出てみたら姉が泣きながら駆け込んできた。

大きなキャリーを引っ提げて足元には姪っ子のひながいて、只事じゃないなと一発でわかる姉の様子に何も言わずに家へと招いた。

ひなの前では説明もしにくかろうと、とりあえず寝るまで待って姉と話すことにした。

「で、どしたの?」

「旦那が不倫してた。家に女招いてヤってるところ目撃したから、荷物まとめて幼稚園に預けてるひなを迎えに行ったの」

「あー…それは…」

「名前ごめん!実家は兄ちゃん夫婦が暮らしてて今更出戻れないから、一ヵ月だけここに住ませて!その間に家と弁護士探したりするから!」

のっぴきならない理由なら仕方ない。
大事な姉の一大事なら助けるのが私の役目だ。

「大家さんに言ってOKもらえたらでいい?ここ一応家族オッケーのとこだから平気だと思うけど」

「構わない」

「姉ちゃん家見つかるまで忙しいだろうからひなのことは任せて。幼稚園に事情説明して旦那が来ても渡さないようお願いすんのと、私が迎えにいくの伝えといてね」

「頼りになる…!!」

「クソ旦那から取れるもん取ったら祝酒しようね」

「任せて!!」

そんなこんなで、私と姉とひなの3人暮らしが始まったのである。



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