07

婚約者の彼と会った後、一静さんを見かけることはあっても会うことは叶わなかった。

次はどんなところに連れて行ってくれるのだろうとワクワクしていた自分が憎らしい。
そんな上手いこと何回も出かけられるわけがないのに。

一静さんは父様と一緒にいることが多く、彼の体格の良さと落ち着き故か父様とは長年の友人のような雰囲気を醸し出していた。

私の父は仕事で成功しているが故に性格は大層厳しく、取引先の息子だからといって簡単に心を許したりはしないはずだ。

だから今隣にいるということは、一静さん自体が父様に認められるくらいの人格者なのだろう。

その点婚約者の彼は若々しさが目立ち、頑張ってはいるものの父様の隣に立つことは未だに許されていない節がある。

そんなに認めているなら一静さんを婚約者にしてくれればよかったのにと言ってもしようがないことを思う。

来週、婚約者の彼のお父上が主催のパーティーがあり、私もそれに参加する旨になっている。
お披露目会も兼ねているのだろう。
ダンスもあって、彼と踊らねばならないことを思うと心が重い。

一静さんが言っていた『もう少しいい子で待っていてね』とはどういう意味だったのだろう。

いい子で待っていたら迎えにきてくれるとでもいうのだろうか。

もしそうなら、早く迎えに来てほしい。
そして私をこの窮屈な籠から放ってくれたらいいのに。



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