「そんな空見上げてどないしたん?」

名前はさっきからずっと空を見上げてため息をついている。

「今日七夕なのにお星様見えへんなって」

「この曇り空じゃ無理やろなあ」

そう言えば名前はまたため息を吐いて、クッションへと顔を埋めた。

「七夕ってね、一年に一回織姫と彦星がデートできる日なんやって。それなのに曇ってたら会えへんやん?なんや可哀想やなあと思ったらテンション下がってもうた」

クッションから少し顔をあげて眉をハの字にさげる名前はほんまに可哀想だと思っているらしく、珍しくしょぼくれとった。

「織姫と彦星は会えんかもしれへんけど、俺らはこうやって一緒にいられるんやからええやん」

そう抱きしめれば「それもそうか」と俺に抱きついてくる名前は可愛らしくて堪らず頬にキスを落とした。

「侑は私と一年に一回しか会えなくなったらどないする?」

「せやなあ…橋がかからなくても名前に会いに行くと思うで」

「ほんまに?」

「当たり前やん、そんなことで諦める侑くんとちゃうで」

わざとおちゃらけた口調で言えば、名前も楽しそうに笑ってくれた。

「星は見えなくても願い事は叶えてくれると思う?」

「名前はなんかお願い事あるん?」

「来年も再来年も侑と一緒にいられますようにって」

「そんなんお星さんにお願いせんでも俺が叶えたるよ」

「ほんなら侑にお願いしようかな」

来年も再来年も、5年後も10年後も名前と一緒に笑っていられますように。




花言葉:ささやかな幸せ


お題:果てしない愛



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