02
私が彼、宮治を見て驚くのには理由があって、それは高校ニ年生の時まで遡る。
当時彼は宮ツインズともてはやされていて、恋愛事に関していい噂はひとつも聞かなかった。
飽きたらすぐポイ、間隔をあけずにすぐ次の彼女、ひどい時には二股、ヤり捨て上等。
そんな最低な噂ばかりなのに好きだと言う女の子が後を絶たないのはイケメンと名高いその顔面と、バレーをしている時の格好よさからだろう。
私の苦手なタイプだと最初からわかっていたし、クラスも違ったので絶対関わらないようにしようと思っていた。
しかし、たまたま放課後残っていたときに不幸は訪れた。
宮くんが空き教室で女生徒とイケナイことをしているのを目撃してしまったのだ。
一瞬何が起こっているのか頭が理解できなくて、後ずさった時に音を立てたのが運の尽き。
夢中になっている女生徒は気づかなかったが、宮くんは私の方をみてニヤリと笑ったのだ。
背筋に冷たいものが走るのを感じ、一目散に逃げた。
暗かったし、私のことなんて把握しているはずもないと言い聞かせてその日は帰宅した。
しかし、次の日に宮くんは私の教室まできて「名字さんおる?」と胡散臭い笑顔を貼りつけて私のことを呼び出した。
友人は「治くんに呼び出されるなんて羨ましい」と言っていたが、昨日の今日で呼び出されるとしたら原因は一つしか思い当たらなくて、これから何を言われるんだろうと震えるしかなかった。
カースト上位に君臨する彼は、私の平穏な高校生活をいとも簡単に崩したのだ。
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