03
「名字さん、昨日見たよな?」
ニコニコと笑いながら話しているのに目が笑っていない彼に得体の知れない気持ち悪さを覚えた。
「なんのことですか」
シラを切ればいいと放った言葉が悪かった。
壁際へと追い詰められ、後ろの壁がドンと大きな音を立てる。
「見てへんとは言わせないで?」
先程の笑顔はもうそこにはなくて、ただただ冷たい目をした彼がいた。
「もし見たとしたらなんなんですか。あんなとこでヤッてる方が悪いでしょう」
負けてたまるかと睨み返し、腕を退けようとするがびくともしない。
「あれ、先生に言われたら困るんやけど」
「絶対言わないので安心してください」
「絶対なんて曖昧な言葉に納得なんかできへんよ」
言わないと言っているんだからそこで引いてくれればいいのに、彼は一切妥協をしなかった。
「じゃあどうすれば?」
「せやな、名字さんの弱味を握るとかどや?」
ニヤリと笑った彼に嫌な予感がして、逃げようとしたが時既に遅し。
唇を塞がれ、スカートの中の太腿を指が這い、その慣れた手つきに甘い声がでる。
開いた口を見逃してはくれずそのまま舌を捻り込まれ、執拗なまでにキスをされた。
シャツの裾から入った手は簡単に下着を外してしまい、私の胸へと手を伸ばした。
次第に身体から力が抜けて立っているのがやっとになった時、彼は私から唇を離した。
「随分気持ちよさそうにしとるなあ?」
スマホを取り出し写真を撮った彼は嬉しそうに「昨日見たこと、言わんでな」と笑った。
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