05

昔から飯に関わる仕事をしたくて頑張ってきて、今回やっと自分の店を持つことができた。

評判も上々で売り上げも好調。

気分も良かったある日、高校時代の甘くて苦い思い出が蘇った。

きっかけは一人の女の子。

高校の間はバレーに集中したくて、彼女を作っても全然大事になんかしなかった。
告白されればOKするし、面倒になればすぐ別れる。
身体の関係だって何人かいたし、それで泣かせることなんか日常茶飯事だった。

罪悪感なんてまるでなくて、俺の顔ばっかみて好きだと宣うやつらに一時でも付き合えて幸せやったやろ?とほんまに最低なことを思っていた。

その日もいつものように名前も知らん女と教室で盛っていて、こんなのの何が楽しいんやろかと俺の下でよがる女を見て内心ため息をついていた時だった。

教室の扉の方でガタ、と音がたった。

顔を向ければそこには顔を真っ青にした女の子がいて、その子は時が止まったかのように動けないでいた。

久しくみないその初心な反応にニヤリと笑ったら、凄まじい速さで逃げていった。

名前は知らないけれど確か一年の時にツムのクラスで見たことがある。
新しいオモチャを見つけたような高揚に自然と口元が緩んだ。

次の日、手に入れた名前を口にしながらその子の教室へ行って呼び出したら小動物みたいな反応をされた。

正直昨日のを見られたからといってどうってことはないのだが、この面白い生き物を手に入れたくて無理矢理キスをした。

慣れてないのがわかるその仕草に、下半身が熱くなるのを感じる。
太腿を撫でれば甘い声がし、我慢ならずシャツの中に手を入れて胸を触ったところでハッと我に返った。

流石に犯したらまずいやろ、と慌てて唇を離せば力が抜けて床へ座り込みとろんとした目でこちらを見られた。

あまりに扇情的なその見た目に手はスマホのカメラを起動していた。

パシャリ

シャッター音が響き、それでもまだ頭の動いていない彼女に「昨日見たこと、言わんでな」と言ったけれど、果たして彼女はこの状況をどう思ったのだろうか。



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