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「名字さん、今日の放課後はどこ行く?」

花巻くんと私は毎週月曜日にスイーツを食べに行く仲だ。

花巻くんとは3年になって初めて同じクラスになり、たまたま席が前後になった。
正直それまではバレー部の及川くんとつるんでる三人のうちの一人という感じで、地味な私とは縁がなく、派手な頭とチャラそうな態度があまり得意ではなかった。

だから席が前後になったとき、背が高くて黒板が見えにくいし、休み時間になると花巻くんの周りに集まる派手な人たちの声がうるさいしで早く次の席替えにならないかなと思っていた。

そんな私たちの関係が変わったのは席替えから一週間くらいした頃だったと思う。
私がコンビニスイーツをしこたま買ってきて席で広げていたら「それ、新作ばっかじゃん。美味そ〜。俺が行った時売り切れてて買えなかったんだよね」と声をかけられた。

びっくりして顔をあげたら花巻くんで、何故私に話しかけるのかと嫌そうな顔を思わずしてしまった。
花巻くんは「そんな嫌そうな顔しなくてもとって食いやしねぇよ」と笑い「で、なんでそんな買ってんの?」と聞いてきた。

別に隠しているわけでもないので素直に「ブログにスイーツの新作とか食べて感想載せてるんです」といえば「え、マジ?見せて見せて」と食い気味で聞かれる。
そんな興味もたなくても…と思うがこれは見せるまで引かないなと思いブログを見せた。

「俺がほぼ毎日みてるブログじゃん!!マジか!!これ名字さんがやってたの!?」

さっきまでどこか猫を被ったような顔をしていた花巻くんが、少年の顔になりすごくキラキラした目で私を見た。

そこからは休み時間がくるたびに私の方を振り向いて、あのコンビニのスイーツはどうだの実店舗にも興味ある?だの色々聞いてきた。

正直少し鬱陶しかったが、毎日ブログを見にきてくれるなんていい人だという思いもあり、毎時間お喋りに付き合った。
そうやって話すようになってから一週間経つ頃には大分お互いの好みもわかってきた。

私はお店にも躊躇なく一人で行くのだが、花巻くんはどうやら行きにくいらしい。
そりゃ180cm超えのデカい男が一人でスイーツを食べてたら目立つであろう。
しかも花巻くんはイケメンで、髪の色もピンクブラウンとなかなか派手な色だ。
可愛い内装の店内にいたら見るなという方が難しい。

そこで花巻くんからお願いされたのである。
女の子と一緒だったら彼女に付き合ってる彼氏に見られてあまり目立たないので一緒にスイーツ巡りをしてくれないかと。

一人で食べるより二人で食べた方がいろんなものが食べられるので私も損はないのでOKすると、すごい勢いで感謝された。

そんなこんなで彼の部活がおやすみの月曜日の放課後にスイーツを食べることになったのである。



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