02
次に彼女を見かけたのは夜の仙台駅だった。
血色の悪い顔でフラフラと繁華街から外れた道へ歩いていくのをみて嫌な予感がした。
決してストーカーではなく、ただ心配なだけだと自分に言い聞かせて少し後ろをつけた。
何もなければいい、そう思って。
しかし世の中とはそう上手くいかないもので、心ここにあらずな彼女は最も簡単に柄の悪そうな男に路地裏へと連れて行かれた。
ほれ見たことかと急いで追いかければ、彼女の上に男がのろうとしているところで。
「なにしてんの、退かないと殺すけど?」
我ながら低い声が出たと思う。
幸い背も高くそれなりに筋肉のついた身体付きなので、男は俺を見て一目散に逃げ出した。
「大丈夫ですか?今警察呼びますね」
なるべく近くによらないでそう声をかければ、彼女は小さい声で「なんで助けたんですか」と呟いた。
仕事上、こういう顔の人はよくみる。
“生きていても仕方ないのに”
「及川と岩泉の幼馴染だからかな。名字先輩でしょ?」
名前を呼べば先程までの何も映さない瞳が、確かに俺を映した。
「警察くるまでおしゃべりでもしますか?」
遅れてきた恐怖からかポロポロと溢れる涙に、今まで泣けなかったんだろうなと少し同情した。
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