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実家へ帰ると姉がたまたま帰っていて「あれ、いっくんが彼女連れてくるなんて珍し〜!」と茶化されたので「友だちの幼馴染。しばらく家に泊まるからヨロシク」と目で牽制すれば姉も名字先輩の様子を見て察したのか頷いて「服とか私の貸してあげるからおいでよ〜!」と先輩を案内してくれた。

正直男である俺が近くにいるよりも安心するだろうから姉が帰ってきていたのは助かった。

姉と先輩が向こうへ行っている間に母へ事情を説明すれば「ご両親が亡くなっているなんて…」とひどく同情して「うちでよければいつまでもいていいわ」と言ってくれた。

そこから名字先輩は姉の着せ替え人形と化していたらしく、寝る前に会った時には先程とは違う意味で疲れた顔をしていた。

「先輩、嫌なら嫌って言っても大丈夫ですよ」

「いっくんその言い方〜!」

姉から文句が出たけれどこの調子でやられたら先輩も疲れるだろう。

「お姉さんができたみたいで嬉しいから…」

たった数時間ですごいなと我が姉ながら思ったが、今の名字先輩にはこれくらいが丁度いいのかもしれない。

「あ、そういえば名前ちゃんしばらく泊まるんでしょ?私も楽しいし名前ちゃん帰るまで実家いるからよろしくね!」

姉の宣言に助かるなと思う反面、その“よろしくね”は“私の世話はあんたがするのよ”の意があるのでまたしばらく姉にこき使われるのかとため息がでた。

まあでも、先輩が少しでも元気になればいいかと「わかった」と二つ返事で了承をした。



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