07
名字さんと連絡先を交換した週末に、お礼を買いにショッピングモールまで足を運んだ。
女の子の好きなものがわからなくて色んなお店を見て回ったけれどどうもピンとくるものがない。
と、いうかそもそも名字さんはアクセサリーをつけるのか?
よくわからなくなってきて、一先ず名字さんのことは忘れてキッチン雑貨でも見るかと雑貨店へと向かった。
高校生のお小遣いで買えるわけはないのだけれど、将来自分の店を持った時にどういうお皿にしようかとか、そういうのを考えながら見るのが楽しい。
これもええなあ、なんて見てたらシンプルだけれど可愛らしいエプロンが視界に入った。
値段を見るとそれなりに高いが、今まで自分が食べたものを考えるとこれでも足りない気がする。
これを着て俺のお菓子作ってくれたらええな、そう思ったらエプロンを手に取り迷わずレジへと向かった。
「すいません、これ…プレゼントなんですけど」
あまり女の子へプレゼントを買うことがなくて妙に恥ずかしい。
店員さんの「彼女さんへですか?」という質問に「いや!彼女やないです!」と否定するけど、店員さんはニコニコと笑うだけで「メッセージカードもつけますか?」と聞いてきた。
「つけるもんなんですか?」
「日頃の感謝とか、何か一言でもあればみなさん喜ばれますよ」
迷ったけれど、喜ぶならええかと「いつも美味いもんをありがとう」と書いたカードを袋へ入れて包んでもらった。
ものすごく恥ずかしかったけれどとりあえず目標は達成できたし、あとは渡すだけや。
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