03

それでもまだ諦めるのは早いと名前のことを見ては手伝えることはないかと探してみた。

しかし器用なもんでいろんな人のお願いも二つ返事で了承してはさして苦労もなさそうにサラッとこなしている。

俺が手を出した方が手間になりそうなことが多くて何もできない。

どうしたもんかと考えていたら、階段でたまたま前を歩いていた名前が足を踏み外して落ちてきた。

咄嗟のことでびっくりしたけれど、名前が軽いからなのかすんなり受け止めることができた。

これは惚れる場面やろ!!

そう思ったけれど、抱き留めたとき身体に触れた柔らかい感触に「結構あるな」と呟いたのがまずかった。

「重くて悪かったなあ。助けてくれたんはありがとう」

ニコッと微笑まれたはずなのに全く笑っていない目にまたやってもうたと項垂れた。

漫画とかドラマとかでもよく見るシーンで、チャンス到来のはずがどんどん名前との間に溝ができてる気がする。

スパダリ作戦、難し過ぎて心折れそうや。



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