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「サムは名前ちゃんに告白せえへんの?」

家に帰るなりツムが頭の痛くなることを聞いてきて、今日は名字さんにお菓子をもらう曜日だったことを思い出した。

「お前名字さんに余計なこと言ってへんやろな」

「お菓子美味かったって話しただけやし!」

目を泳がせながら言うツムに、絶対それ以外のことを話してきたのがわかる。

「嘘つけ、何話したんや」

「なんも話とらん!」

「今なら許したるから早よ言え」

「…名前ちゃんにサムに告白せえへんのって聞いた」

思わずツムを蹴ったのは仕方ない。

「なんで蹴るんや!許してくれるって言うたやん!」

「蹴られるようなことする方が悪いやろ!」

「侑!治!やかましい!!」

下からオカンの怒鳴る声が聞こえて乱闘は避けたけれど、目の前のアホのやらかしたことがほんまに腹が立って仕方がない。

「名前ちゃんが告白せえへんならサムがすればええんかなって思ったんやけど」

「なんやその安直な考え」

「邪魔したくないって言っとったから」

「話が見えへん」

「バレー、後一年で辞めてまうからそれまで邪魔したくないって名前ちゃんが言ってたんや」

お互いの気持ちが通じ合っていることは多分わかっていて、本当に後は言葉にするだけなのだと思う。

でも俺がそれをやらないのはバレーに専念したいからで、その気持ちを汲んでくれている彼女には感謝しかなかった。

「ならそれで話はおしまいやろ」

「誰かに取られるって思わへんの?」

「そんなん付き合ってもないのにそんなこと言える立場にないやろ」

「取られてからじゃ遅いと俺は思うけどな」

この時ツムが言った言葉に、この後悩まされるなんて思いもしなかった。



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