07

期末テストもあと一週間後に迫り部活もなくなったので、以前約束した通り宮くんたち双子と角名くんの三人と勉強会をすることにした。

図書館だとあまり声を出せないので場所は角名くんと治くんのいるクラス。
このメンツだとものすごく目立つのでは…と不安もよぎったが他に場所もないので仕方ない。

宮くんたちには「俺らの家くればええやん」とサラッと言われたが、そんなことしたら学校の女子に何言われるかわかったもんじゃないのでお断りした。
角名くんは「あの2人が家で勉強すると思えない」と尤もなことを言っていた。

そんなこんなで2年1組で勉強をする流れになった。

「まず何からする?」と聞けば、角名くんは「俺は数学が怪しいから数学をやろうと思うよ」と言い、宮くんたちを見れば2人して「「なにからやったらええかわからん…」」と言う。

「とりあえずノート出してもらってええ?」と聞くも、出されたノートはほぼ真っ白。
時折何か書かれているが、ミミズがのたくったような字で読めない、もしくは落書きのどちらかである。

これは一週間でどうにかなるのだろうかと不安しかない。
しかし北さんにも勉強を教えると言ってしまった手前どうにかせねばなるまい。

私のノートを見せ、とりあえず写してもらい、それを見て教科書の問題を解いてもらう。
わからなければ都度質問。
テストに出そうなところは予め先生たちとの雑談の中で手に入れてきているので、そこは絶対に暗記をする。

意外にも宮くんたちはしっかり勉強してくれて、当初心配していた私の手に余る事態にはならなかった。

「なあ、名字さん、これはどうすれば解けるん?」

「これはlogだからこことここが同じ数字になるようにすると解けるよ」

「名字さん、アカン俺ここの英語なに言ってるか意味わからへん」

「これはin a senseである意味でっていう熟語なんやよ」

そんな質問を何回も何回も繰り返し、一週間が終わる頃には質問の回数が驚くほど減っていた。
やればできるのにやらないタイプなんだろうか。

そしてこの試験勉強中で、私は宮くんたちを名前で呼ぶようになった。
普段は然程困らないのだが、近くにいて呼ぶ時に宮くんと声をかけると二人に何?と言われてしまい、非常にややこしかったのだ。

そして迎えた試験最終日、角名くんに手ごたえはどうだった?と聞けば「名字さんのおかげで結構できたと思うよ、ありがとう」と言われ、治くんと侑くんに聞けば「「今まで一番できたと思う」」と声を揃えて言われた。

あとは答案返却日を待つのみだ。

テストも終わったし今日は帰ろうと下駄箱で靴を履き替えていると、侑くんに呼び止められて「今日から部活やから、もしよかったら名字さん観ていかん?」と誘われた。

そういえば久しく彼らのバレーを観ていないきがする。

「試験も終わったしええな!侑くんのセット綺麗やから好きやねん」そう言えば侑くんは「せやろ?俺のセットは最高やからな!」と喜んでくれた。

そして「帰りは送ってくから、ちょお時間かかるかもやけど待っとってな!」と言われ「俺試験頑張ったからご褒美もらわんと割にあわんわ!」とニッコリ笑ってそのまま体育館の方へと行ってしまった。

ご褒美、なにか考えた方がいいのだろうか。



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