06

今日は朝の星座占いが最下位で『身近な人の嘘に気をつけましょう』なんて注意までされてテンションはガタ落ちだった。

いつも通り教室について、席に着くと朝練から帰ってきた角名くんと治くんが走って教室に入ってきた。

「お前がこんなことやるから俺まで怒られたんだけど」

「仕方ないやん!最終手段や最終手段!」

「まさか放課後までそれなわけ?」

「授業はちゃんと受けな北さんに怒られるから一限始まる前には戻るわ!」

「そこはちゃんとやんのかよ」

「あ、名字さんや」

治くんと角名くんは私の方へ顔を向けると「おはよう」と声をかけてきた。

「おはよう、今日部活でなんかしたの?」

目の前に立つ治くんを見上げそう尋ねると、治くんはニッコリ笑って私の腕を掴んだ。

その笑顔に背筋がゾッとした。

目の前にいるのは誰だ?

治くんは私と話す時は絶対目線を合わせてくれる。
それをしないで上から話しかけるこのアッシュグレーの彼は、治くんじゃない。

咄嗟に腕を振り解き「侑くんやろ!」と叫んで逃げた。

後ろから「なんでわかんねん!!!」と悔しそうな叫び声が聞こえたから、やはりあれは侑くんだったらしい。

本来の治くんがいるであろう一組へと駆け込めば、そこには金髪に染めた治くんがいた。

「治くんまで何しとんの!?」

そう叫べば方々から「え、侑やないの?」「これ治なん?」と困惑の声があがる。

「名字さん、すぐわかったん?」

驚きながらも楽しそうな声で私へと聞いてきた治くんに「話す時に目線合わせてくれへんかった」とこたえれば「名探偵か」と大きな声で笑われた。

「ほら、アホなことしてへんで教室帰るよ」

「名字さんすごいなあ!今の俺らのこと見分けられる人なんてそうそうおらんで?」

「ってかそのためだけに髪染めたん!?」

「1日のヘアスプレーやからバレたんやったら次の休み時間にでも落としてくるわ」

「信じられへん」

「ツムも必死やからなあ。いい加減捕まってあげればええやん」

「ここまでくると中途半端は相手に失礼やから私も全力で逃げることにするわ」

絶対捕まってやるものか。



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