04
選手入場の時に私の着ているユニフォームの人がセッターとして紹介されていて、幼馴染と同じポジションだったので少し親近感が湧いた。
プレースタイルは当然のことながら全然違ったけれど、スパイカーに打ちやすいトスをあげるところは素人の私がみても惚れ惚れするくらい綺麗だった。
「どうやった?」
「最っ高でした!!!しばらくバレーから離れてたけどまたハマりそうです!!!」
「おー!推しは見つかった?」
「このいただいたユニフォームの宮選手ですね」
「ほんま!?それやったらよかったなあ!!サインもらい行こか?」
「勿論です!!!」
先輩は木兎選手が好きみたいでそちらの列へ並び、私は一人宮選手の元へと向かった。
列が進み私の順番になった時「お、俺のユニフォーム着てくれとるやん〜」と嬉しそうに笑ってくれて、気さくでいい人だなと思った。
「お姉さん名前なんて言うん?」
「名字名前です」
「え…」
宮選手の手がピタリ止まり、私の顔を凝視した。
「…何か?」
「名字名前ちゃんって言うん?」
「え、はい…そうですけど…」
「ほんまに名前なん?」
「えっと…どこかでお会いしたことありましたか?」
「…いや、なんでもあらへん。名前ちゃんへ、でええ?」
「あ、お願いします」
「折角やからBJのポーズで一緒に写真でも撮る?」
「いいんですか?」
「あ、すみません、写真撮ってもらってもええですか?」
そう言うと宮選手は近くにいたスタッフの人へと声をかけて、ツーショットを撮ってくれた。
「今日は来てくれてありがとな。また来たってや〜」
宮選手は手を振ってくれ、去り際に私の耳元で「今日の夕飯はおにぎり宮で食うとええよ」と小さい声でつぶやいた。
振り向いた時には宮選手はもう次の人のサインを書いていて、私の方なんて見てもいなかった。
さっきの呟きといい、名前を言った時といいなんなのだろうか。
私が名前を言った瞬間、宮選手の顔はとても驚いていた。
それこそ宝物でも見つけたかのような顔をされたと思う。
でも私が知らないのがわかった途端、態度が変わった。
以前、どこかで会ったことがある?
いや、でもあんな派手な人会ったら忘れないはず。
私が覚えてないくらい前…?
答えは出ないまま、先輩に呼ばれて私は会場を後にした。
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