08

侑くんに誘われてみにいったら二階に友人がいて「お、名前やん!こっちで一緒見ぃひん?」と言ってくれ、なかなかいい場所で見ることができた。

今日はいつもの試合形式とは違い、6人体制ではなく3vs3でやっていた。
侑くんと治くんは違うチームで、侑くんがツーをしかけようとした時に治くんが双子の勘なのかサラッと返して悔しそうにしたりとか、逆に治くんがスパイクを決めようとしたときに侑くんが防いだりとか、そういうのがすごく面白くて部活の時間目一杯楽しんだ。

「名前、この後コンビニ寄ろうと思ってんやけどどうする?」そう友人に言われ「ごめん、この後予定入ってんねん。また誘ってや!」と断る。
「じゃあまた答案返却日にな!」「え〜、その前に遊んでや!」なんてお互い言い合って別れ、私は侑くんが終わるのを体育館の裏で待つことにした。

程なくして侑くんから角名くん経由で『終わった!どこにおるん?』とLINEがあり『体育館裏におるよ』と返せば『すぐいく!』ときた。

侑くんは本当にすぐ来て「待たせてもうてすまんな。早よ帰ろ」と言って微笑んでくれた。

夕焼けを背にピンと伸びた背筋、逞しい体つき、すらっと伸びた手足、どれをとっても侑くんが格好よくみえてドキドキした。

今までは仲のいい友だちという感じだったのに、急に侑くんも男の子なんだなと思った。
これから一緒に帰るのに、こんなに意識してしまって帰り道大丈夫なのだろうか。

「名字さん、バレーどやった?」

「初めて試合形式じゃないの見たからびっくりした!ああいう練習もあるんやね〜。」

「あー、そうやなくて!俺どうやった?」

「格好よかったで!3vs3やとあんまりセットしてるとこ見れんからちょお残念やったけど」

そういえば「次はセットしてるとこいっぱい見せたるからな!」と笑ってくれた。

「好きやなぁ…」

「えっ」

侑くんが驚いた顔をしていて、声に出ていたことに気づく。
あ、やばい、なんか言わないと。

焦れば焦るほど言葉はでてこなくて、居た堪れなくなって「あ、うちすぐそこやから!」と言って走って逃げた。

幸いにしてテスト最終日、夏休み前に登校するのはあと答案返却日と終業式だけ。
しばらく侑くんにあわなくてすむことに、少しだけホッとした。



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