06
試合が終わってから夕飯までの間、あまりにも暇だったので宮選手について調べてみた。
宮選手は意外にも私と同い年で、バレーの強豪校である稲荷崎高校の出身だった。
そういえば幼馴染が唯一興味を示したオレンジ髪のあの子がいたところが、春高で宮ツインズ率いる稲荷崎高校に勝ったって言っていた気がする。
直接対戦はしていないから顔もプレーも見たことなかったけれど、もしかしたらどこかで会っていたのかもしれない。
そんなことを思っていたら、時刻は17:30。
少し早い気もするがお腹も空いているのでおにぎり宮へと向かうことにした。
お店についたら丁度店主が外に出ているところで「開いていますか?」と聞いたら「大丈夫ですよ」と笑ってドアを開けてくれた。
店内に入れば炊き立てのお米の香りが鼻を擽る。
「うちは初めてやんな?」
「はい。最近こっちに引っ越してきまして」
「どこで知ったん?」
ニコニコと気さくに話しかけてくれるところは宮選手にそっくりで、流石双子と思わずにはいられなかった。
髪の色こそ違うけれど、表情や仕草が同じである。
「宮選手に夕飯はここで食べたらいいって言われて来ました」
「ツムが?」
およっと少し驚いた顔をして「宣伝でもしてくれたんかな?」と私に尋ねてきたが、そんなの私が知る由もない。
「美味しいから行けってことですかね?」
「それはあるな!にしてもいつもそんな言い方しないんやけどなあ」
「じゃあ宮選手がこの後くるとかですか?」
「自分ツムのファンなん?」
「今日ファンになりました!」
「プレーだけは格好ええからな」
店主である宮治さんは笑いながらトゲのある台詞を言ったけれど、その顔は少し誇らしげだった。
「そういえば、宮選手私のこと知ってる感じだったんですけど何かご存知ですか?」
「あー…」
寂しそうに笑う店主は宮選手同様私のことを知っているかのようだった。
「あの、店主さんも私のこと知ってるんですか?」
「うーん…ま、とりあえず何食べる?」
タイミング悪くお腹が鳴ってしまい誤魔化されてしまったが、どこか諦めにも似た顔をした店主に私は居心地の悪さを感じた。
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