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桜井くんに用があるから待っていてくれと言われ、放課後教室で一人机に突っ伏していた。
治先輩からもう作らなくていいと言われたものの、もう日課みたいになっていて今日もお菓子を持ってきている。
昨日は侑先輩にあげたし、一昨日は桜井くんと二人で食べた。
いい加減この量を消費するのも苦しくなってきて、そろそろ気持ちを切り替えないとと思うもののなかなかそれができないでいる。
治先輩の気持ちも考えないで男の子といたのが悪い。
周りから見ても距離は近かったし、勘違いした人だっているだろう。
いや、勘違いだったのだろうか。
治先輩を好きな人たちは沢山いる。
その中に明確な悪意を持ってわざとそういう噂を流した人だっている筈だ。
どちらにせよ油断していた自分が悪い。
結果として治先輩は誤解をしてしまったし、それを正す術もないのだから。
気持ちを伝えるのは治先輩が引退してからにしようなんて気長すぎたのだろうか。
待つことは苦じゃなかったのだから、先に気持ちを伝えていればこんなことにもならなかったのではないだろうか。
後悔先に立たず。
まさに言葉の通りになったわけだ。
凹んではいるけれど、比較的落ち着いていられるのは治先輩が告白されても全部断っているからだろう。
どんなに嫌われたとしても、私の気持ちは変わらないのだからしつこいと言われようと好きでい続けるのは私の勝手。
治先輩がバレーを引退したら気持ちを告げる。
これは変わらないのだ。
その時フラれても自分が悪かったことだし、万一OKがもらえたら運が良かった、それだけの話だ。
それまでに治先輩が誰かと付き合ったとしたら、私よりもその子が頑張った証。
心変わりは責める立場にない、侑先輩に言った通りだ。
そう頭ではわかっているものの、もういらないと言われたのはやはり少しくるものがあった。
元気が出なくて桜井くんにも迷惑をかけてるし、本当どうにかしないと。
そんなことを考えていたら、遠くの方から走ってくる音が聞こえた。
桜井くんかな、と思ったけれどそのわりにやけに速い足音な気がする。
元気な人もいるものだ。
その元気を私に分けてほしい。
ため息を吐いたその時、足音が止まり教室のドアが勢いよく開けられた。
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