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俺らが住んでる町には昔から人の形をして過ごいている人ならざるモノがいると言われている。

普段一緒に過ごしている分には気づかなくて、離れてからその人のことを思い出そうとすると靄がかかったようになる。

その人が話したことも、一緒に行った場所も覚えているのに名前はおろか顔も性別も思い出せない。

そこで初めてその人が人ならざるモノだったのだと気づくのだ。

俺にもその経験があって、2年の時同じクラスにいて仲良くしていたはずの人が思い出せない。

高校の卒業式が終わるまでは確かに名前も呼んでいたのに、気づけばその存在は朧げになっていた。

年長者は皆口を揃えて言う。

「お狐様は人と関わるのが好きだからなあ」

俺が知らないだけで、今日もこの町のどこかで人に紛れて過ごしているのだろうか。



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