04

体育祭当日、茹だるような暑さの中ほんの少しの涼を求めに日陰へと集まった。

「名字さん暑いの苦手なんやな」

「こんな暑かったら誰でも無理やろ…」

「二人とも次二人三脚だけどここいていいの?」

「え、放送あった?」

「さっき呼ばれてたよ」

あまりの暑さに放送すらも聞き逃していて、ゲッソリした顔で集合場所へと慌てて向かった。

まだ六月だというのに日差しは強く、この中を走るのかと思うとため息しかでない。

「暑いのは嫌やけど負けるのはもっと嫌や」

「お、名字さんやる気満々やん」

「治くんと組んだからには負けられへんからな」

足をハチマキで結び、どちらの足を先に出すか決めて互いの体へ腕を伸ばす。

周りを見ても運動部同士の組み合わせばかりで、帰宅部の名字さんは異色だったけれど負ける気なんて微塵もなかった。

『位置について』

審判の掛け声に耳を澄ませ、ピストルの音と共に足を出した。

俺も足は速い方なのに、名字さんに引っ張られるような感覚に驚いた。
俺よりも速い、そんなことがあるのだろうか。

気づけばゴールテープ目前で、周りのチームに大差をつけて勝利した。

「名字さん、めっちゃ速いな…?」

「ふふ、ちょっと本気出してもうた」

舌を出して悪戯っ子のように笑う名字さんの目は細く釣り上がっていて、普段とは違うその雰囲気に思わず息をのんだ。



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