01
朝登校したら下駄箱にラブレターが入っていて、可愛らしい便箋を見て清楚系の女の子を想像して昼休みに屋上へと向かえば待っていたのは180度違うギャルやった。
「侑くんきてくれたん!?」
「期待させたなら謝るけど、俺ギャル嫌いやねん。悪いけどこういうの下駄箱に入れんのもやめてくれん?知らん人からの手紙とかキショいねん」
「ご、ごめん…」
泣きそうな顔をグッと堪えて走り去った彼女は、確かサムのクラスの名字さんやったと思う。
「自分の好みとちゃうからってフり方えぐない?」
「人の告白を盗み聞きしとるお前にだけは言われとうないな」
「名字さんスタイルもええし顔も可愛えやん」
「ギャルってだけでお断りや」
「ツムのその拘りようわからんわ〜」
そう、何を隠そう俺はギャルが大嫌いで、そのきっかけ高一の時まで遡る。
高校デビューで髪を染めた俺たちは、色の派手さから勘違いされることが多かった。
勉強は確かにあまりできないけれど、二人ともバレーに関しては真面目に取り組んでいたにも関わらずだ。
双子で目立つし、自分で言うのもアレだけど見た目も整っているのでそれなりにモテた。
そんな中高三の先輩から告白をされて、初めて彼女ができた。
そんな彼女と部活が休みの日に遊びに行く約束をして、先輩の教室まで迎えに行ったらそこで自分が馬鹿にされているのを知った。
「なんで侑くんと付き合うたん?」
「そらイケメンやからに決まっとるやん」
「じゃなきゃバレーばっかでこっちのことなんてお構いなしのおこちゃまとなんか付き合えへんよな」
「ほんまやで!チャラそうに見えんのに意外と初心で全然手出してこんのは笑うしかないわ」
「えー、もしかして童貞なんかな!?」
「下手やったらどうする?」
聞こえてきた会話は耳を塞ぎたくなるような言葉ばかりで、自分の彼女が話していることとは到底思えなかった。
いつも笑って楽しそうな彼女は偽りで、心の中では俺のことを嘲笑ってたなんて。
頭が真っ白になって、そこからどうやって家まで帰ったかは覚えていない。
帰宅してからしつこいくらいにくるLINEに『すいません別れてください』とだけ送り、そのまま返事も見ずにブロックした。
その日からギャルを見るだけで嫌悪感を覚え、話しかけられようものならもう二度と近寄って来ないくらいに追い返すようになった。
俺に関わるな、その一言に尽きる。
どうせああいうやつはフラれたからってすぐ立ち直って他の男と付き合うたりするんや。
そんな軽い気持ちで告白してくるなんて迷惑でしかない。
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