03
三年生になって初めてレギュラーに選ばれた。
しかも監督からもらったユニフォームの背番号は『1』。
ばぁちゃんに言われた『誰かが見とるよ』という言葉がこれほどまでに実感できたことは今までなかったかもしれない。
初めて臨む公式戦は緊張なんてしなかった。
いつも通りやるだけ。
順調に勝ち進んで手に入れた東京体育館への切符は、俺よりもばぁちゃんの方が喜んでくれた。
そして迎えた第一戦、相手は仙台の烏野高校。
試合はセットカウント1-1で3セット目へと進み、得点は31-30で烏野がリード。
もう一度デュースへ持ち込めるかと思った双子の速攻が烏野の一年に止められ、ボールの落ちる音と笛の音が体育館に響き試合終了を告げた。
勝利の女神は俺らではなく、相手に微笑んだのだ。
負けた悔しさはなかったけれど、一つ悔しいことがあるとしたら俺のすごい仲間をもっと他の人にも見てほしかったことだろう。
それを双子に言ったら孫の代まで自慢できる後輩になってくれるそうなので、まだまだ楽しませてくれそうだ。
今日試合には負けたけれど、明日もまだ公休扱いで他の試合が観られるし今の一、二年生にとってはいい勉強になるかもしれない。
そんなことを思いながら試合会場を後にしてホテルへと戻った帰り道、すれ違った学生服の集団に名前によく似た女の子を見かけた。
振り向いた時には人混みに紛れて見つけられなかったけれど、もし今日ここへ来ていたのなら明日もいるかもしれない。
今日、その学校が負けていなければの話だが。
十年以上会っていないので見間違いかもしれないけれど、やっとみつけた一縷の望みに胸は想像していたよりも大きく高鳴った。
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