05

一年の頃からバレー部の試合を観に来ている女の子がいる。
見た目こそ派手だけれど、頭の中がスッカラカンのそこいらの女子とは違い観戦中は静かにしているし不必要な声援は絶対にしない。

珍しいなと思ってみていると、ツムがその子を目で追っているのに気づいた。

大きな目、ふくよかな唇、そしてなによりも豊満な胸。
ツムが好きそうな見た目だったので、てっきり一目惚れでもしたのかと思っていたのにツムは全然関係ない先輩と付き合って、挙句そのせいでギャルというギャルを憎むようになった。

ずっと目で追っていたくせに好きやなかったのか?と不思議に思ったけれど、その先輩と付き合ってる間もその子が試合にくれば視線はそちらに釘付けだった。

片想いの相手には奥手なタイプなんだろうかと放っといたら、二年になってその子がツムに告白しているのを見た。

これで晴れて両想いになるかと踏んだのにツムから出た言葉は最低最悪のものばかりで、名字さんは泣くのを一生懸命堪えて屋上を後にした。

もうここまでくると意味がわからない。

フった後もツムはずっと視界に名字さんを入れているのに、それに対して不快だと怒るし、俺と名字さんが付き合えばいいとまで言う。

もしかしてギャルという先入観から好きになるわけがないと思い込んでいる?

その結論に至ったのはたまたまツムのベッドにあったいかがわしい本をみつけた時だった。

どう見ても名字さんに似た女の子がエロい格好をしているページが開かれていて、しかも開き癖までついている。

その子と名字さんの違いといえば髪色くらいなものだ。
…いや、名字さんのが胸はでかいかもしれない。

ツムのあまりのアホさに絶句した俺は悪くないと思う。
周りから見たらこんだけわかりやすく好きなのに、本人に自覚がないのは本当に理解できない。

そしてそれに巻き込まれている名字さんは本当に可哀想だと思う。
せめてものお詫びに名字さんとツムがくっつくよう頑張ろうと心に誓った。



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