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次の日からあからさまに名字さんに避けられるようになった。
目が合えば不自然なまでに逸らされるし、声をかけようものならすごい顔をして逃げられる。
そりゃ無理にキスをしたのでその対応をされても文句は言えないのだけれど、少なくとも気持ちは一緒だと思ったのにこの仕打ちだ。
来月には修学旅行もあるというのにお先真っ暗でため息しかでない。
同じグループになれば一緒に周れるかと思ったけれど、それも夢のまた夢なのかもしれない。
「治、修学旅行誰とグループ組むの?」
タイムリーな話題を出してきたのは角名で、勿論角名とは組むつもりでいる。
問題は女子。
俺のことを好きな子と組むと修学旅行中アピールがうるさいし、目立たないタイプの子と組むと共通の話題もなくつまらない。
高校二年生の修学旅行と行ったら在学中一番のイベントだ。
できることなら仲の良い女子と組みたい。
「名字さんとは最近話してないみたいだし、喧嘩でもしたのかなって思ったけど」
「や…喧嘩はしとらんのやけど…」
「避けられてるのに?」
「避けられてはいるな…」
角名は俺と違ってわりとどの女子とも仲がいい。
好意を受け流すのも上手いし、そもそも角名のことを好きな子はあまり表に出さない子が多い気がする。
「…とりあえず誘うだけ誘ってみたら?」
「せやな…」
角名の言葉に頷いたものの、声をかけられれば逃げられる俺がどうやって誘えばいいのだろうか。
そう思って悩んでいたのに、意外にも修学旅行に関しては名字さんの方から声をかけてくれた。
「こういう旅行イベントは最後だから、治くんさえよければ組んでほしい…です」
「喜んで…」
「じゃ、よろしく」
「おん…」
話は終わったと言わんばかりにそそくさと去っていった名字さんに、とりあえずは嫌われたわけではなさそうだと安堵した。
しかし避けられいるのは変わらないこの状況を打開しなければ名字さんと付き合うのも難しいのは事実で。
修学旅行、全てはこれに賭けるしかないのだろうか。
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