08

次の日、なんだか自分が自分じゃないみたいで何回も鏡を見直したし、お化粧もいつもよりも薄くしてみた。

母親には「前のも似合ってたけど今回のもかわええなあ」と褒められたので多分そんな変ではないはずなのだけれど、どうも落ち着かない。

第二ボタンもしめてるし、スカートだっていつもよりも大分長い。

心配になって治くんに『朝教室行く前に見てもらってもええ?』と送ってしまったけれど、今となってはそれすらも恥ずかしい気がしてくる。

いや、でも私にイメチェンしろと言った張本人なのだからそこは確認してくれないと困る。

治くんからは『朝練あるから体育館の裏で待っとって』と優しいお言葉をいただいたのでそこで待っていたら、先程まで一緒に朝練をしていた侑くんまでついてきた。

侑くんに見られる前に確認してほしかったのになんで、なんて言葉は本人の前で言うこともできずにニヤニヤと笑う治くんの腕を引っ張ってクラスまで逃げるしかできなかった。

「治くん!なんで侑くんまで連れてくるん!?」

「ツムに見てもらわな意味ないやん」

「その前に変じゃないか確認してほしかったのに!」

教室に着いた途端さっきのみこんだ怒りを治くんに吐き出せば、治くんは私の怒りなんてどこ吹く風で私のことを上から下まで品定めした。

「これは思った以上やなあ」

「…変やない?」

「変なわけあるか!めっちゃかわええで!」

うんうんと頷きながら私の出来栄えに納得したのか、頭を撫でて「ほんまかわええなあ」と言う治くんにほんの少しだけドキドキしたのは許してほしい。

「これならいけるんちゃう?」

「あとは私何したらええの?」

「なるべく俺と一緒におったらええよ」

「…それだけ?」

「それだけやけど、効果絶大や」

ニヤリと笑った治くんはまるで侑くんみたいで、あんまり中身は似てないのかと思っていたけれど二人はやっぱり双子なんだなと思わずにはいられなかった。



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