02
そして7月29日、久々の家族旅行は朝からババタと忙しなかった。
昨日のうちに準備しておけばよかったものの、明日からバレーのない生活が何日か続くと思うとげんなりしてやる気がでず、明日の朝やればいいかとそのまま寝たのが悪かった
「侑!!早よせんと間に合わなくなるやろ!!」
「何度も言わんでもわかっとるわ!」
「なら早よ下降りてきなさい!」
朝からオカンに怒られてテンションはだだ下がり。
選んでる暇もなくそこら辺にあった服を適当にトランクに詰め、無理矢理蓋を閉めて車へと運ぶ。
いくら休みと言えどバレーボールには触れたいので手に持って後部座席に乗ると、そこには同じことを考えたのかバレーボールを手にしたサムが既に座っていた。
「あんたら休みの日までバレーってほんま好きやなあ!」
オトンはケラケラと笑うオカンをまあまあと宥め「好きこそものの上手なれって言うからね」と嬉しいことを言ってくれ、サムと二人で手を合わせて喜んだ。
楽しい会話もしばらくすれば暇故の眠気に襲われだんだんと少なくなり、落ちてくる瞼に勝てずに眠ったら、気づけば出発から3時間ほど経っていた。
「そろそろ着くで」
サムの声に窓の外を見れば、海岸線を走っているのか一面の青が視界に入った。
窓を開ければ潮風が流れてきて、蒸し暑いながらもどこか懐かしいような気持ちになる。
「夕飯、なに出るんやろ」
「美味いもんやったらええな」
体育館が使えないのはつまらないけれど、たまにはこういう息抜きもあった方がいいのかもしれない。
back