03
「いらっしゃいませ!」
予約していた宿に着けば、迎えてくれたのは俺らと同じくらいの女の子やった。
小麦色に焼けた肌と、ショートパンツから覗くスラッとした長い足。
ただ細いだけでなく筋肉が程よくついていて、何かしらのスポーツをやっているのがわかる。
「今日予約してる宮といいます〜」
「お待ちしておりました!宮様、4名様ですね!」
玄関をくぐると木の階段が目の前に広がり、外観は至って普通の民家なのにちゃんと中はおしゃれな旅館なことに少し驚いた。
「女将さーん、お客様いらっしゃいましたよ」
「はーい」という涼やかな声が聞こえ、フロントの奥から着物を着た女性が「お待たせしました」とにこやかに出てきて、先程の女の子と似たその顔から近しい関係なのが窺える。
ジッと見ていると視線を感じたのか女将さんはチラリと俺の方を見て淑やかに笑い「姪っ子ですよ」とまるで俺の心を読んだかのような答えを口から零した。
「夏休みだから遊びがてらうちに手伝いに来てくれたんです。年も近いと思うのでもしよければ構ってあげてくださいな」
「まだ若いのに偉いなあ!侑も治もこれくらいお手伝いしてくれたらええのに」
「俺らはバレーあるから仕方ないやろ!」
「バレーない日もなんもやらんやろ」
「それはツムだけや。俺はやっとる」
「サムもそんな変わらへんやろ!」
ついいつもの癖で言い合いをしたら、くすくすと笑い声が横から聞こえてハッとした。
「名前、失礼でしょう」
「あ、ごめんなさい。つい面白くて…」
「いーんですよ、こんな可愛え子に笑ってもらえて嬉しいですわぁ!」
出されたお茶を飲みながら、呼ばれた彼女の名前を静かに心の中で繰り返す。
名前ちゃん。
顔だけやなくて名前も可愛え。
「召し上がったらお部屋にご案内しますね」
ニコリと笑ったその顔に、胸がドキリと跳ねた。
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