05

デートの約束を取り付けたはいいがさて一体どこへ行けばええんやろかって思っとった。

名前ちゃんが何が好きかとかなんも知らんし、片割れに昨今のデート事情を聞いても「は?なんかオシャレな飯でも食ってりゃええんちゃうか」と何の役にも立たない言葉しか返ってこんかった。

そしたら名前ちゃんからLINEがきて『中華街に美味しいものを食べ行きたいんですけど…まだ行ったことがなくて』と書いてあり、食べ歩きか!ナイス案やな!と思い『めっちゃ楽しそうやな!』と返しといた。

そうと決まれば情報収集や!とお店に来る人にどこのお店が美味しかったか聞いた。
常連のおばちゃんに「治ちゃんデート?」と聞かれたので「せやねん!上手くいくよう祈っといてや!」と言えばどこから持ってきたのかガイドブックをくれた。
当日はこれを見んでも案内できるようになるで!と必死で中身を読み込んだ。

そして当日、服装は悩んだけどいたってシンプルな物にした。
名前ちゃんはどんなん着てくるんやろかと昨日からずっと考えとって、可愛い格好もええけど綺麗系なのも似合うなあと思った。

待たせたらアカンやろと待ち合わせの20分前には着くようにしたけど、それが裏目にでてさっきから女性の視線がうるさくてかなわん。
お前らに用はないんじゃと思いながらも、名前ちゃんがいつ来てもええように気にしてない風を装った。

「治くん、お待たせしました!」

待ち望んだ名前ちゃんの声がして顔をあげる。

は??なん??むっちゃかわええんやけど??
え、それ俺とのデートのために着てきてくれたんよな??

そう早口に捲し立てたいのをぐっと堪えて「早く着きすぎただけやから。今日の服可愛くて似合っとるなあ」と褒める。
そしたら「治くんも私服格好いいですね」と言われ、脳内でガッツポーズや。
「あんま着る機会ないんやけどな」と照れ隠しに言ったけど、今日これ着てきてよかった!!!今朝の俺ほんまGJやで!!

無事おちあえたので、目的の場所へと向かう。
電車内で隣に座る名前ちゃんからめっちゃええ匂いがして少し寄ったら恥ずかしそうに照れてた。
普段はカウンター越しやからあんまわからへんかったけど、隣の席座るってええなぁ。
この間はツムがいてそれどころやなかったしな。

そして駅につき、名前ちゃんがガイドブックを開く。
お、常連のおばちゃんがくれはったのと同じやと思い、ここの豚まんが美味しいとか付け焼き刃の知識を披露した。

ガイドブックを持ってるのは名前ちゃんやったから、俺がそれを覗くような形になるので名前ちゃんの顔が近くにあって緊張した。
うわぁ、まつ毛なっが。同じ人間と思えへん…。

俺が近かったからか、ガイドブックをすぐ閉じてしまってちょっと残念やった。

目当てのお店へいき、名前ちゃんが迷ってるので半分こにしよか?と提案すれば喜んでくれて、ちょっとした悪戯心から名前ちゃんの持っとるやつをパクリと食べた。
あ、顔真っ赤や…めっちゃ照れとる。

「百面相しとるなあ」といえば、もっと難しい顔になってしまってちょっと笑った。



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