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目が覚めると侑のベッドに横になっていて、起きようとすると割れるように頭が痛い。

昨日の記憶はおにぎり宮に行ったくらいまでしかなくて、山ノ井さんと何を話したのかもここまでどうやって帰ったのかも全くといっていいほど記憶にない。

二日酔いからか身体はいつも以上に怠くて、侑の朝ごはんを作らなきゃいけないのに思ったように動いてくれない。

と、いうか私が侑のベッドで寝たならば侑はどこで寝たんだろうか。

一通り部屋を見渡しても侑の姿は見当たらないし、なによりこの家に私以外の人の気配を感じられない。

とりあえず昨日はお風呂に入ってないだろうしと向かったお風呂場で、私は悲鳴に近い叫び声をあげた。

所有を表す全身に散りばめられた鬱血痕を見て、昨夜何があったのかを思い出したのだ。

侑は私のことを女として見ていなかったはずなのに、昨夜の侑の瞳は確かに熱を帯びていて、その表情を思い出すだけで身体が火照る。

想い人と結ばれた喜びはあれど、恋愛感情のない関係に未来はないのは自分が一番よくわかっている。

過去にはもう戻れない。

一緒に住む以上越えてはいけない一線を越えた私に残された道は一つ。

いい物件が見つからないからと長々と居座ってしまったけれど、それがよくなかったのかもしれない。

侑に『お世話になりました』と一言メッセージを送り、来た時と同じトランクケースを片手に侑の家を後にした。

さて、これからどうしようか。



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