02
授業の終わりを告げるチャイムの音で目が覚めた。
今何時だろうと時計を確認すると、5時間目が終わった頃で、1時間丸っとサボってしまったなと反省した。
すると廊下から足音が聞こえてきて、保健室の扉がすごい勢いで開いた。
「「名前!!!」」
大声で私の名前を呼んだのは侑と治で、授業中いなかったから探しにきてくれたんだろう。
「無事か!?」
「怪我ないか!?」
そういって私の顔や手をペタペタ触り、傷がないことを確認する。
「「今度はどいつや。しばいたる」」
侑も治も幼馴染である私のことをすごく大切にしてくれる。
それが原因でいじめもされるわけだけれど、素直に心配してくれる様は少し心地がいい。
「気にせんでええねん。今回はなんもなかったし」
「あのな、名前。お前が呼び出されたって聞いて俺らは毎度寿命が縮むかと思うんやぞ」
「頼むから呼び出されたら教えてくれ」
「「俺らが守ったるから」」
口々に言う双子に、愛されてるなあと思わず頬が緩む。
「笑い事ちゃうねんぞ!」
「今回はなんもなかったかもしれんけど次はわからんやろ!」
本当に心配してくれているのであろう彼らには悪いが、私は今回ほど呼び出されてよかったと思ったこともないのだ。
「せや、多分先輩なんやけど…銀髪で毛先が黒くて、いたらピシッとせなあかんと思うような人知っとる?」
そう聞けば双子は顔を合わせて「「北さんやな」」とこたえた。
そうか、あの人が双子を唯一止められるという北さんなのか。
先程の正論ストレートの言いようを思い出し、あれが「正論パンチ」かと納得した。
「なんや北さんがどうかしたんか」そう侑に聞かれたので「なんでもあらへん」とこたえる。
「気になるやろ!」と騒ぐ侑に「なんでもあらへんって言うてるやろ」と再度言って黙らせ「6時間目もあるし教室戻ろか」と退室を促した。
保健の先生にお礼をいい、私たちはそれぞれのクラスへと向かった。
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