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二人の同居を提案したときに、ずっと自分の本心から逃げている名前ちゃんのきっかけになればと思った。
ツムと上手くいこうが、それこそ本当に諦めることになろうがどっちでもよかったのだ。
それがまさか告白もなしに身体の関係になり、あろうことかそのまま音信不通になるとは思ってもみなかった。
やることをやってしまったんだからお互いの気持ちを言って纏まればいいものをなんて面倒くさい二人なんだと呆れるしかない。
しかし、酔った名前ちゃんをツムに押しつけたのは自分だし、酒の力を借りて少しは素直になれと思ったのも事実。
どうしようもない二人の仲を取り持つのもこれが最後だと言い聞かせて、暖簾も片付けた後の店へと名前ちゃんを誘い出した。
「治ぅ〜」
情けない声で閉店後の扉を開け、今にも泣きそうな顔で俺を見た名前ちゃんに、何年か前にも同じ光景を見たことをふと思い出した。
その時もツムが原因で、我慢強い彼女が泣くのはいつも片割れが関わるなぁと思わず苦い顔になる。
「その様子やと飯碌に食ってへんな?」
「食欲わかないんやもん…」
「お粥でも作ったるから。…なんか腹に入れへんと倒れるで」
「ん…ありがと…」
ほんの数日しか経っていないはずなのに、目の下に隈をこしらえて少し窶れた彼女にお粥を差し出すと、ゆっくりと咀嚼しながら静かに大きな涙を流した。
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