03

月曜日は図書館によるのが習慣になっている。

いつもと同じように図書館の自動ドアをくぐると、奥の方から視線を感じた。

ドアの開く音がしたし、見られるのは当然だから気にしないように振る舞ったけれど、なかなか刺さるような視線が俺から外れてくれない。

根負けてチラリとそちらを伺うと見慣れない顔の女子がいて、俺を見ていた彼女とバッチリ視線が絡み合った。

いつもなら騒がれるのも面倒くさいし他方を見ようとしていたフリをして視線を外すのだけれど、今回ばかりは俺の方も彼女から目が離せなかった。

吸い込まれるような深い藍色をした目の色、人形のような綺麗な顔立ち。

お互いの顔を見つめ合い、まるで時が止まったかのような時間だった。

一目惚れなんて言葉今の今までピンとこなかったけれど、この胸の高鳴りは間違いなくソレで。

自覚した途端、芽生える羞恥心に耐えられず誤魔化すように笑みを浮かべて会釈をし、何事もなかったかのように振る舞ったけれど、彼女から見ても違和感はなかっただろうか。



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