04

花巻くんのいう通りに、指定されたお店に先に入り、及川くんしつこそうだけど本当に撒けるんだろうかなどと思いながら「友人が後で来ます」と伝える。

案内された席は窓際のボックス席で、ここで食べてたら目立つなぁと思い窓の外を見る。

花巻くんから『撒いた!今から行く』ときて、あの及川くんを撒けたのか、すごいなと思ったところで窓の前に花巻くんが撒いたはずの及川くんがいることに気づいた。

バレてないから大丈夫だよね?と思ったけど、及川くんは私を見てニッコリ笑いお店へと入ってきた。
急いで花巻くんに『及川くんがお店にきたんだけど?』とだけ送る。

及川くんは店員さんに「待ち合わせです」と言い、私のいる席へと向かってきた。
私の待ち合わせの相手は貴方じゃないんですがと思いつつ、なにがどうしてこうなったのだろうとため息をついた。

及川くんは席へ座り「カフェラテお願いします」と注文をし、私へと向き直った。

「はじめまして?」と言われたので「はじめまして…」と返すも「この間マッキーといた子だよね!?雰囲気違うから一瞬わかんなかったよ!」と言われる。

花巻くんは約束は守ってくれたらしい。
ただ、及川くんが思っていた以上に鋭かっただけで。

「マッキーと待ち合わせてるんでしょ?放課後の予定聞いても誤魔化すから絶対女の子とデートだと思った!」

「デートではないです」

「違うの!?」

「花巻くんがこういうお店は一人で行きにくいから一緒に行ってるんです」

「ふーん…マッキーがねえ…」

注文したカフェラテが届く。

と、いうかこの人注文までしていつまでいるつもりなんだろう。
私と及川くんは話すの初めてだと思うのだけど…。

訝しげに及川くんを見ていると「安心して、誰にも言わないよ」と笑い「あ、ほら。マッキー来たみたいだよ?」と入り口の方を指さした。

怒りの形相の花巻くんがすごい速さでこちらへきて「及川お前なんでここいんだよ!!」と詰め寄ると「歩いてたらマッキーがこの間一緒いた子を見つけたから、一緒飲み物でも飲もうかなって」と胡散臭い笑顔で話す。

花巻くんが私の方へ顔を向け「え、バレたの?」と聞くので「雰囲気違うから一瞬わからなかったって」とこたえれば「キッモ…」とドン引いた声を出した。

花巻くんが来たので当初の予定であるここの名物のジャンボパフェを頼む。
及川くんに「お前にはやらないからな」と言えば口を尖らせて「マッキーのケチ!」と怒る。

「っていうか帰れよ。名字さん困ってんだろ」

「そんなことないよね!?これはイケメンの及川さんとパフェ食べられるなんて嬉しい!って顔だよ!!」

「眼科行ってこい。すげぇ嫌な顔してんの見えないのかよ」

ぽんぽん弾む会話が面白くて思わず笑うと及川くんが「ほら!楽しそうだよ!」とドヤ顔をする。

結局パフェが届いたら花巻くんはちゃんと及川くんに分けてあげて、及川くんは「マッキー!」と感動し抱きついていた。
「キモい」って一蹴されてたけど。

パフェを食べた後及川くんとLINEを交換したら「これで俺たちも仲良しさんだね!」と笑ってくれて、キラキラしてる人たちも普通の男の子なんだなと思った。



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