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借りたものは早いところ返すのが吉、そう思い次の日に軽い手土産を持ちお店にむかった。
扉をあけ「いらっしゃいませ〜」と言う店員さんと目が合いお辞儀をすると「昨日の傘の子やんな?」とにっこり笑ってくれた。
傘のお礼ですと手土産を渡せば「別に気にせんでもよかったのに。でもここのお菓子好きやから嬉しいわ」と言い、カウンターへと案内してくれた。
今日のおすすめはなんですか?と聞けば「ネギトロやな!」と言われたのでネギトロとおかかを注文した。
できたおにぎりを渡され、さて食べるかと手を合わせたものの店員さんが目の前から動かずこちらをじっと見てくる。
店内には私しかいないので手持ち無沙汰なのだろうかとも思うが、こうも見られると食べづらい。
沈黙に耐えられず「あの…なんでしょうか…」と尋ねれば「気にせんでええよ」と返されてしまった。
こんなイケメンに見つめられて気にしないとか無理でしょ!!と叫びたい気持ちを抑え、冷めてしまうのも勿体ないので仕方なく食べ始める。
食べ始めてしまうと案外気にならないもので、おにぎりはぺろりと腹の中へと収まってくれた。
「お姉さん美味そうに食ってくれるなあ」
その言葉に顔をあげたら「おべんとくっついとるで」と言われ、慌てて鏡をとりだした。
「フッフ、慌てん坊さんやな」と笑われ恥ずかしさで死にそうである。
「ごちそうさまでした」と告げお会計を済ましたら「おまけ」と紙袋を渡された。
お礼を渡しにきたのにいただくのは、とお断りすれば「またきてな」とヒラヒラ手を振られてしまい、紙袋を返すことはかなわなかった。
帰宅し紙袋の中身を確認すると「試作品。味の感想きかせてな。」という言葉とともにLINEのIDが書かれた紙が入っていた。
昨日の今日でLINEのID渡すとかチャラ!!と思ったが店員さんの顔を思い出し、好みの顔だったんだよなあ…とアプリを起動して友達登録したのは仕方ないと思う。
明日の朝食べたら感想を送ろうと思いながら、私は眠りについた。
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