06

結局バレー部の練習が終わるまでみていて、外はすっかり日が暮れてしまった。
親には遅くなる旨を伝えていたので問題ないが、この暗さの中一人帰るのは少し怖い。

散々行動を制限するなと騒いでおいて双子に一緒に帰ってくださいというのも自分勝手な気がしてならない。

仕方ないかと諦め、一人正門の外へと出ようとしたら「「名前!俺らと一緒に帰るにきまっとるやろ!何一人で帰っとんねん!危ないやろ!」」と二人が後ろから追いかけてきてくれた。

こういうとき本当に頼もしいんだよな、と思っていたら「今日名字さんは俺と帰るからダメや」と北先輩が双子を制した。

初耳ですが、と思うけどこの機会を逃す手もあるまいと「せやねん、すまんなあ」と謝る。

「いつの間に!」「北さん抜け駆けはアカンですって!」「俺らの名前が!」と項垂れる二人に「名字さんはお前らのもんとちゃうやろ」と正論パンチを食らわせ「さ、行こか」と私の手を引いた。

しばらくして二人が見えなくなったのを確認してから北先輩は「嘘つかせてもうてすまんな」と謝ってくれた。

「いえ、役得です!…やなくて、何か御用でもありましたか?」そう聞けば首を傾げ、「強いて言うなら興味があったからやな」と私の方をしっかり見てこたえてくれた。

「興味ですか?」

「いじめられとんのに双子に助けも求めんで自力でなんとかしようとしとる名字さんに興味がわいたんや」

北先輩はそういい「いや、この言い方だと失礼か?」と言い少し考え「誰にも頼ろうとしない強さに惹かれたんやろな」と頷いた。

天然なのか?と思うくらいに真っ直ぐ伝えられた言葉にかたまっていると「双子が溺愛しとるっていうからもっと悲劇のヒロインみたいなの想像しとったんやけど、実際の名字さんみたら全然違ったやん?その強さも含めて俺が守ってやりたいって思ったんよなあ」と続ける。

私は何を言われているのだろう。
言葉だけ聞けば一種の告白ではないか。

「北先輩、その…そういうことを言われると勘違いしてしまうのですが」

真っ赤になった顔を見られたくなくて俯いてそう伝えれば「勘違い?」と不思議そうな顔をされた。

「好きな女の子にしかそういうのは言うたらアカンと思います」

「そんなら問題あらへんな」

思わず「告白しとるつもりですか!?」と聞いてしまい「されとるつもりないんか」と返され「と、とりあえず整理させていただいてもええですか」と聞けば「気の済むまで考えてくれてええよ」と笑われた。

そうこうしている間に家につき「ほなまた明日」と手を振られた。



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