05

それから侑くんとはよく一緒にいるようになった。

休み時間も友人を交えておしゃべりしたり、お昼ご飯になれば学食で声をかけられ席を共にすることもしばしば。

そして何より変わったのは、侑くんからのスキンシップが増えたことだ。
何かと頭をなでられたり、手に触れられたり、髪の毛を触られたりするようになった。

恥ずかしいけれど、あの愛しむような瞳で見られてしまっては嫌とも言えなかった。

「名前」

「なあに?」

「んー?呼んでみただけやで」

側から見たら本当にバカップル丸出しで、周りの子たちには申し訳なかった。

「本当に付き合ってへんの?」なんて聞かれるのは日常茶飯事で「付き合ってへんよ」といえば「なんで?」と聞かれる。

告白することも考えたけれど、侑くんにはなによりも大事なバレーがある。
私が告白してもし付き合えたとしたら、きっと今よりわがままになると思う。

デートだってしたい、連絡だって今よりもっととりたい、そんな小さな積み重ねが侑くんの負担になったら嫌で私から付き合ってくださいとは言えなかった。

侑くんだって何か考えていて今の関係でいるんだと思う。
今だって侑くんは私にとても優しいし、それで十分じゃないか。

そう自分に言い聞かせてはいるけれど、やはり曖昧な関係は少しだけ私をモヤモヤした気持ちにした。

それでもそんなことは言えず、私と侑くんのこの関係はあの出来事が起こるまで続いたのだ。



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