03

朝、目覚ましの音に起こされ眠い目を擦ってベッドから起きた。
昨日もらったおにぎりを温めなおし、手を合わせいただく。

中身はなんなんだろうかと思いながらおもいっきりかぶりつくと牛肉のそぼろが入っていて、味の染みたそれとご飯が口の中で混ざり朝から幸せな気分になった。
もう一つは鳥ごぼうで、こちらは豚汁のときのような懐かしい味がしてしばらく帰っていない実家の母を思い出した。

身支度を済ませて家を出るときに、店員さんに「朝から幸せでした、ごちそうさまです。」と送り、スマホをカバンへとしまった。


お昼になりスマホをみると店員さんから返事が来ていて「どっちが美味かった?」とあったので「僅差で牛そぼろでした」と返せば、すぐに既読がつき「同じ意見や」ときた。

朝のおにぎりの味を思い出していたら後ろから「名前どしたん〜?めっちゃ幸せそうやん!」と先輩に声をかけられた。
昨日一昨日と通ったおにぎり屋さんの話をすれば先輩はすぐ思い当たったらしく「おにぎり宮やんな?話聞いたら食べたくなってきた!昼そこで食べへん?」と誘われた。

流石に三日連続はどうなんだと思うが、まだ食べてないのもあるんだよな〜と思い先輩と行くことにした。

お昼に来たのは初めてで、夜の静かな雰囲気が嘘のように繁盛していた。
先輩はよく通っているみたいで、店員さんをみるなり「治くん!おにぎりおすすめのやつ3個握ってや〜!」と注文を通し、「お店で食べるん?それともテイクアウト?」なんて聞かれれば「今日はお店〜!」といい空いている席へと座った。
そのまま先輩の向かいへ座り「私も同じのお願いします」とだけ伝え、先輩との話に花を咲かせた。

先輩の話によると店員さんはここの店主さんで、宮治さんというらしい。
LINEの画面にも名前はでていたが、読み方がわからなかったのでとても助かった。
宮さんは双子で、片割れはプロバレーボーラーの宮侑さん。
高校の時は宮ツインズと呼ばれ、二人ともすごかったことを教えられた。
先輩はバレーボールが好きでよく試合とかも観にいくらしい。

そんな話をしていると「おまちど〜」とおにぎりが運ばれてきた。
冷めないうちにと話を中断して、二人で手を合わせていただいた。

食べ終えて会社へと戻り、自席にて食後のコーヒーを飲んでいると宮さんから「今度はゆっくり食べにきてな。午後も仕事頑張ってや。」とLINEが入っていた。
マメだな〜と思うも、あの忙しい中送ってくれたことに嬉しさを覚え、次はいつ行こうかななんて考えてしまうあたり私は多分チョロい。

「宮さんもお仕事頑張ってください」そう返し、午後も頑張るぞと気合をいれパソコンへと視線を戻した。



back