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応援を終えて、急いで花巻くんの元へと駆けた。
みんなから「頑張れ」「応援してるからね」と声援をもらい、気合はバッチリだ。

「おつかれ」

私のことを見つけた花巻くんが笑って手を振ってくれる。

「は、花巻くん、見ててくれた…?」

「おう。すげー可愛かった。苦手って言ってたのに、上手に踊れてたじゃん」

ニカッと笑う花巻くんは爽やかでとっても格好いい。
ドキドキする心臓に手を当て、息を整える。

「あのね、花巻くん。私…」

伝えるって決めたんだ、頑張らないと。

意を決して顔を上げると、花巻くんの指が私の唇に触れた。

「そこから先は俺から言わせてな」

目を細めて笑う花巻くんは悪戯が成功した子どものような顔をしていた。

「俺、名字さんのことすげー好き」

伝えられた言葉に驚いて、目をパチクリさせると「名字さんが俺のこと好きっていう噂流したの、俺だって言ったらどうする?」と言われた。

「え…なんのために…」

「意識してもらおうと思って。成功した?」

ニヤリと笑う彼は今まで見たことないような色気を纏っていて、近くにいるだけでクラクラしてしまう。

「まだとって食いやしねぇよ、名前ちゃん。これからよろしくな」

後ろで高く結び上げた私の髪の毛にキスを落とし、花巻くんはいつもの優しそうな顔へと戻り「じゃ、俺行くな」と及川くんたちのいる方へと走っていった。

呆然と立ち尽くしていると応援団の子たちがきてくれて「どうしたの?」「大丈夫?」と口々に心配してくれるが、なんて言ったらいいのかわからず「好きって言われた」と伝えれば「両想いだ!」「よかったね!」と喜んでくれた。

先ほどみたちょっと意地悪で色気のある花巻くんにドキドキがとまらない。
最初から手のひらで転がされていたなんて思わなかったけど、それでもいいなんて思うのは末期すぎると、私は人知れずため息をついた。

「マッキー、何考えてるの?」

「ん?可愛いうさぎちゃんをどういただこうかなって考えてるトコ」

「名前ちゃんマッキーのそういうとこ知ってんだっけ?」

「いや?惚れさせたもん勝ちだろ?慣れてもらわねぇと」

「ケダモノだねー」

私の知らないところで及川くんと花巻くんがそんな会話をしていたと知るのは、もっと先のお話。



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