07

明日なんて来なければいいと思っても朝は来てしまって。

すごい顔をしていた私に母が「今日はお休みする?」と優しく聞いてくれたけれど、この先ずっと休むわけにもいかなくて「大丈夫」と返して学校へ行く準備をした。

足取りは重く、教室のドアを開けるのにこんなに苦労する日が来るなんて思わなかった。

「名前おはよ…って、あんた顔色悪いで?具合悪いん?」

「あー、寝不足やねん…」

友人に昨日の顛末を話すわけにもいかず、誤魔化しつつ自分の机へと向かうと「あっ、侑くん来たで!」と言われる。

よりによって朝来てすぐに会うことになるとは。

「名前おはよ〜さん」

声をかけられたけれど顔も見たくなくて返事もせずに机へと突っ伏した。

「え、名前どしたん?」

声も聞きたくない、昨日あんな酷いことを言った口で私の名前を呼ばないでほしい。
流れそうな涙を一生懸命堪えて必死にその声を聞かないようにする。

友人がその様子に何かを察したのか「今日名前具合悪いんやって」と説明してくれ、どうにか納得はしてくれたようだが、今日一日いつもの感じで絡まれたらストレスで死んでしまう。

その後の休み時間は話しかけられないようにチャイムが鳴ると同時にトイレに行ったり、ロッカーへ教科書を取りに行くフリをしたりしてやり過ごした。

昼ごはんは学食に行くと会いかねないのでお弁当を引っ提げて人気のない準備室の方で食べた。
ぼっち飯だったけれど侑くんに会うよりそっちの方がよっぽどマシだった。

放課後も友人に「どこか行く?」と聞かれたけれど「具合悪いから」の一点張りで一目散に家へと帰った。

友人からは『侑くんとなんかあったん?』とLINEが入っていたけれど『なんもあらへんよ』とだけ返し、まだ整理のつかない心を抱えたまま今日も枕を濡らした。



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