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小さい頃から婚約者がいた。

親同士が決めた人で、私にとってはそれが当たり前だったし多分向こうの人もそうだったと思う。

お互い会うのは親が相手の家に行く時で、子ども同士で仲良くしていなさいと二人して庭に出された。

仕事の話をしに来ているので、短くても1時間、長い時は相手の家でご飯を食べることもあった。

親が開くパーティーでは必ず彼と一緒にいて、お似合いの二人だと周りから言われた。
家柄的にも、見た目的にも。

10代も後半になると結婚まで後少しといったところで、彼も仕事を継ぐために向こうのお父上についていくことが多くなった。

私の方はというと、花嫁修行だといってこれでもかというくらいのマナーを叩き込まれ、習い事も山のように行かされた。

別に彼との結婚に不満があったわけではないのだけれど、自分の人生とはなんだろうかと思うようになり、しばしば習い事から逃げることもあった。

彼、一静さんと出逢ったのはそんな時だった。



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