09

疲れていたのもあり、結構眠ってしまっていたらしい。
スマホをみればちょうど帰りのHRが終わった時間で、慌ててベッドから起きれば先生が「顔色少し良くなったね、もう大丈夫?」と気を遣ってくれた。

優しい言葉に少し泣きそうになりながら「大丈夫です、ありがとうございました」と言い、荷物をとりに急いで教室へと向かった。

教室に侑くんはもういなくて、ホッとして荷物を取ればクラスにいた子たちから「大丈夫?」「名字さん具合良うなった?」と心配してもらい申し訳ない気持ちになった。

「寝不足で気持ち悪かってん」と説明すれば「よう寝なアカンで!」「今日はゆっくり休み!」と言ってくれた。

クラスの子たちにさよならを告げて正門へと向かう。
正門までの道には体育館があり、嫌でもバレー部の練習の声が耳に入る。

「侑!お前今日やる気あるんか!!外行って頭冷やしてこい!!」

大きく怒鳴る声が聞こえてすぐ侑くんが体育館からでてきた。
その瞳は光を灯していなくて、普段のあの楽しそうな侑くんはそこにはいなかった。

階段から降りる侑くんが私の存在に気づいて、しばらく時が止まったかのようにお互い動けなかった。

しばらく見つめ合った後どちらからともなく目線を逸らし、侑くんは水道の方へ、私は正門の方へと足を進めた。

もう、話すこともない。
その選択をしたのは自分だ。

下を向いていた顔を上げ、正面を見据える。
頬を伝う涙は見ないふりをした。



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