レッドアイ
「ふ……っ、ん」
佐登が吐息を零しながら、恥ずかしげに身をくねらせた。
鴎外の唇が佐登の肌を掠めては離れていくのが擽ったくもあり、佐登の性感を煽っていく。だんだんと体が熱くなっていくに伴って、白い肌が少しずつ薄桃へと染まっていき、視覚的にも鴎外を楽しませる。
ふふ、と鴎外の愉しげな声が佐登の耳を擽った。佐登の僅か下から聞こえてくるのは、佐登が今鴎外の膝の上に乗せられているからだ。愉しげな彼の声を聞いて、羞恥に堪らず頬を赤く染めて、恥ずかしげに涙を溜めて見下ろす。腰あたりを撫でる手つきはいつものような優しいものではなく、どこか妖しげに佐登の体を昂らせて、指が通るたびに素直に、びくりと腰を震わせてしまう。
「は……あ、ん……っ、お、鴎外、さん、んっ」
いつもとはちがう、いわゆるチャイナドレスと呼ばれるものに身を包んでいる佐登だったが、露出が高い。胸元は透ける素材で谷間がはっきりと見え、背中は惜しげもなくあらわになり、大胆に開かれた足のスリットはすでに足の付け根も見えそうなほどだ。ドレスと一緒に置かれていた黒い下着の紐が時折、鴎外の指にかかって、引っ張られると脱がされるのではないかと不安になった。
鴎外の唇が、服越しに佐登の胸の頂を挟んだ。ひ、と震えた声をあげ、佐登は首を振った。
「だ、だめです……っ」
「どうして?」
「だ、だって、こんな、こんなの」
恥ずかしい。そう訴えかけると、鴎外はくすりと笑った。鴎外の手が佐登の唇に触れると、真っ赤な口紅がその手袋に色が移ってしまう。白い手袋を、汚した赤い口紅があまりにも淫靡に見えてしまい、佐登はごくり、と喉を震わせた。
「もっと恥ずかしいことしたら、どうなっちゃうんだろうねぇ」
「あ、だ、め……っ」
ついに、下着の紐が鴎外の指につままれて解かれた。しゅるり、とあっさりと解かれてしまい、安定感をなくした下着はあっという間に佐登の膝下へ落ちた。あ、と声を上げると、鴎外の手がドレスの上から佐登の尻をそっと撫でた。
「……んっ、鴎外さんっ、」
「ふふ。恥ずかしい?」
「あ、パンツ……返してぇ……っ」
いやいやと首を振って、鴎外に訴えるが鴎外はくすくすと喉を震わせるだけだった。もう恥ずかしくて、恥ずかしくて、佐登の青い大きな瞳からポロポロと涙がこぼれ落ちる。
このドレスはようするに「鴎外のお楽しみ用」という奴だ。
佐登が着るにはあまりにも大胆な意匠で、普段なら絶対に断るが、二人きりの時に、恋人の鴎外からお願いされて手渡されてしまうと、佐登はなかなか断れなかった。明らかに情事に耽るための衣装だ。下着は渡されたパンツ以外は身につけることも出来ず、大胆に開かれた背中はあまりにも無防備だった。
「……暮」
鴎外に名前を呼ばれて、佐登は顔をあげた。あまりにも大胆な衣装を着せられた恥ずかしさと断続的に与えられる快楽によって佐登の表情はいつもよりも蕩けた甘い表情をしていて、鴎外は無意識の内に喉を鳴らした。
「嗚呼、君はなんてずるい子なんだろう」
「ふぁ……っ、ん、」
佐登を引き寄せて唇を塞ぐ。鴎外の唇にも佐登の赤い口紅の色が移るがそんなことは気にせず、全て喰らい尽くしてしまうような情熱的な口付けをかわす。腰も強く引き寄せれば、互いの体のすきまはまったくなくなって、薄い絹の服越しに互いの体温がよくわかった。
「んっ……んんっ、ふぁ……あ、んっ」
しっとりと濡れている舌をからめとって、強く吸い付くと佐登が反射的に足を閉じようとしたのか鴎外の脇腹付近に心地よく太ももがあたり、ぎゅうぎゅうと締め付けた。愉しげに笑いながら、その露出された足をゆるゆると撫でると、佐登の舌がびくん、と震えて、堪らず逃げようとするからそれを追いかけて、鴎外は佐登の口内のさらに奥まで侵入した。
次第にとろり、と蕩けて、佐登はもう抵抗など出来なかった。むしろ、理性よりも先に飛び出してきた本能が、この先の鴎外から与えられるだろう甘い快楽を期待して、体の奥からジワジワと熱を持たせてくる。熱が高まれば高まるほどに思考は鈍って行って、ついに自分から縋り付くようになる頃に、ようやく佐登は鴎外の口付けから解放された。
「ぷは……っ、はぁ……ん、あ……ぁ、」
もう、口付けは終わりなのだろうか、と寂しげな顔をした佐登をみて、鴎外は片手をするりと絹ごしに尻を撫でた。先程の抵抗とは打って変わって、あ、と僅かに期待のこもった声を上げられれば、つい口の端が持ち上がった。
「おや、もう恥ずかしくないかな?」
「〜っ、い、意地悪、言わないで……っ」
スリットの隙間から手を差し入れて、下着をつけていない尻をなで、割れ目を指でそっとなぞった。
「あっ、んっ、ああっ……っ、ひぁ……っ」
恥ずかしいせいもあったのだろうが、すでに鴎外との行為にすっかりと慣らされている佐登はしっとりと秘部を濡らしていた。膣から溢れ出ているであろう愛液が、鴎外の手袋を濡らした。
「はしたないねぇ」
意地悪く、鴎外がそういえば、佐登はさっと青ざめて鴎外へ視線を落とした。
「あ、あっ……ご、ごめん、な、さい……っ」
「怒ってないよ。むしろ、私としては好都合だよ」
「え……? あ、ああっ、ひんっ!」
予告なく、指が二本、佐登の中に挿し入れられる。泥濘んだ秘部はあっさりと鴎外の指を受け入れて、襞を震わせていた。まるで生娘のようにきゅうきゅうと鴎外の指を締め付けるそこに、鴎外はここに自身の屹立を入れた瞬間を想像して、堪らなくなった。だが、まだだめだ。彼女を傷つけることはあってはならないのだから。
「ほら、肩に手をついて。腰だけ少しあげてごらん」
片手で、腰を撫でながら鴎外はそういった。
「あ、……はっん…………んんっ、」
両手を鴎外の方へ移した佐登が恥ずかしそうに目を伏せながら、腰を上げた。鴎外の指が動かしやすいように膝をついて、腰だけを上げる体勢に堪らず、再び涙を零してしまった。少し腕を突っ張っているせいで、鴎外の顔の近くに佐登の胸があるせいで、鴎外の吐息が佐登の肌を擽った。鴎外は顔を胸に近づけると、唇を押し当てて、ちゅうと強く吸いながら、佐登の中の指を動かし始めた。
「あっ、ひぁ……っ、あ、そ、こ……そこ……っ、だ、めぇ……っ」
「ここ気持ちいいのに? 暮、好きでしょ?」
駄目じゃないよね、と佐登の膣内の一点を指でぐり、とえぐった。
「ひっ、あ、や、やだぁっ、あ、ああ、き、きもっ、ちいい、から、だめぇっ! い、イっちゃ、うっ、イっちゃうからぁっ、あ、ああ、あああっ!!」
そこばかり執拗に攻め立てれば、鴎外の肩を掴んでいた佐登の手に強く力が入る。膣が一際強く締まったかと思えば、佐登の体がびくんびくんと何度も痙攣し、次第に力が抜けてくるとゆるゆると鴎外の元へ倒れてくる。
「はっ……あぁっ…………」
「ふふ、イっちゃったねぇ。気持ちよかった?」
両手を太腿の付け根に添えられながら、鴎外が佐登の額や頬に何度も口付けを落とす。それすら敏感に快楽として拾う佐登は都度、甘ったるい声を上げている。
「お、がい……さ、っあ、やぁっ、あ、んっ!」
再び指を二本、膣の中へ押し込まれると、佐登は鴎外に縋り付いた。達したばかりの敏感な膣は鴎外の指に合わせて、引き抜かれそうになればきゅうきゅうと締め上げ、中へと押し込まれるときにはゆるゆると泥濘んだ。
「ひぃ、んっ、あっ、ああっ、も、い、く、いくぅっ、んんぅ、」
「ふっ……ん」
口付けながら、何度も佐登を指で達せさせる。とろとろと濡れた秘部から、伝って太腿を濡らした佐登は必死に鴎外に縋り付きながら、堪らない快楽に身を委ね始めていた。段々と抵抗の言葉が少なくなってくる頃に、鴎外は佐登の耳にふぅ、と息を吹き込む。
「ふっ、あ……っ、」
「ねぇ、暮。私も、気持ちよくなりたいなぁ」
佐登の手を片手、鴎外は自分の屹立の元へ導いた。佐登の甘い嬌声と、白い肌を震わせる痴態にすっかりと硬さを持って、ズボンの中で窮屈そうにしているそれを掌で感じた佐登は一瞬目を見開いたが、それが自分の中に入ることを想像したのだろう、小さく唾を飲み込んだのが鴎外にはわかった。たっぷりと唾液に濡れて、てらてらとひかる唇が小さく噤まれたのがその証拠だ。
「暮が触ってくれる?」
「あ……っ、は、はい……っ、」
くたりと鴎外にしなだれかかっていた体をなんとか起こした佐登は鴎外の膝の上から降りて、鴎外の隣に膝をついて、四つん這いになった。ズボンの中で窮屈そうにしているそれをまずはズボン越しにゆるゆると手で撫でると、鴎外が優しく頭を撫でてくれた。
「は……っ、あっ、も、硬い……っ」
「だって、暮がとってもえっちだから」
「ひぁんっ、」
手持ち無沙汰だったらしい鴎外の片手が佐登の尻を撫でる。わざと核心は避けて、ゆるゆると尻たぶだけを撫でていく。そんなもどかしい快楽に悶えていると、鴎外の視線が佐登に突き刺さる。佐登は震える手で、鴎外のズボンと下着に手をかけると、鴎外の屹立を取り出した。
「ふぁ……っ、ん、鴎外さん……っ」
「ん? 前にやり方は教えてあげただろう? やってごらん」
ほら、手で、ね。
鴎外に促されて、佐登はゆるゆると、手で鴎外の屹立を撫でる。佐登の手には少し大きいそれを上下に手を動かして扱いていく。時折親指で、屹立の鈴口付近を刺激するとびくん、と屹立が揺れる。
「上手じゃないか、暮。そのまま……っ、続けて?」
「は……い」
鴎外が気持ちよさそうに眉を顰めるのを見て、佐登はたまらなく嬉しくなった。鴎外の屹立からこぼれ落ちてくる先走りを潤滑液にして、少し動きを早めると鴎外の腰がびくりと震えた。
「んっ……暮、もういいよ。ありがとう」
「あ……っ、」
手を離すように促されて、佐登は少し残念そうにしながらも、鴎外に言われた通りに手を離す。この従順さが鴎外は嫌いではなかった。よしよし、と頭を撫でてやり、佐登に手を出すように促す。そして、その手に、避妊具のゴムを置いた。
「できるね?」
鴎外に耳元で囁かれて、佐登はふるりと体を震わせた。そして、鴎外にじいっと見つめられ、さらに膣の奥がとろりと濡れたような気分にさせられながら、小さく頷いた。震える手でゆっくりとゴムの封を切ると、鴎外の屹立に被せていく。よくある蛍光ピンクのそれにすっかりと包まれてしまったそれを一度見て、佐登はゆるゆると鴎外を見上げた。
「で、きました……」
「よくできました。じゃあ、ご褒美をあげないとね。――――おいで」
鴎外の言葉には逆らえない。というよりも、逆らおうという意志が今の佐登にはないので、佐登は言われるがままに再び鴎外の膝の上に跨った。
「……あっ、……鴎外、さん……」
「どうしたの?」
「い、いえ……」
なんでもありません、と口ごもった佐登を見て、鴎外はくすりと笑う。快楽に任せて早く、と強請ってしまえばいいものを。ほんのちょっとのところで理性に邪魔される。そんなことを言ってはいけないのではないか、と思ったのだろう、目を逸らした佐登の手を自分の肩に再度導いて、そのまま力を抜いているようにいうと、佐登は頷いた。
秘部の入り口に鴎外の屹立が触れると、佐登はびくん、と体を震わせ、一度腰を引き掛けた。
だが、鴎外の手が腰をしっかりと掴んでそれを阻む。逃げられなくなると、佐登はふぁ、と甘い声をあげて腰をくねらせる。それに構わず、鴎外はゆっくりと佐登の中へと屹立を押し進めていった。
「ふぁ……あっ、ああっ、ん……おお、きぃ……っ」
ぎゅう、と佐登の中が屹立を強く締め付けた。何度も何度も鴎外を受け入れているはずなのに、この瞬間ばかりは未だに慣れない。強い快楽が腰から背を上がって、脳を蕩けさせていく感覚に恐怖すら感じる。
「ひっ、あ、ああっ」
鴎外に導かれるままに腰を落としていった佐登の膣が一際強く締め付けた。どうやら、軽く達してしまったらしい。達したことを申し訳なく感じたのか、それとも恥ずかしかったのか佐登がごめんなさい、と喘ぎに混ぜながら何度も告げてくる。
「謝らなくていいんだよ、気持ちよかったんだね」
「ふぁっ、ひ……っ、ひあ………あ、っ、あ、き、もち……っ、い、い……っ、で、すぅっ!」
最奥まで鴎外の屹立が収まると佐登は鴎外に縋り付かなければ体勢を維持できなくなっていた。膣はしっかりと鴎外の屹立の形に開拓されており、達したせいで断続的に締め上げ、鴎外は一度、顔を顰めた。
「ん……っ、ああ、暮、気持ちいいよ」
「あっ、ぅンっ、あ……あ゛ぁっ、ま、ってっ、まってぇ……っ」
何度も達したせいで、すっかりと子宮口が降りてきており、鴎外が腰を擦り付けるように何度もそこを先端で刺激すると佐登は今までとは明らかに段階の違う声をあげた。その様子を眺めながら、鴎外は一度腰を引いて、子宮口から先端を離した。それを見た、佐登が安心したように表情を緩めたが、すぐに強く腰を打ち付けた。
「ひぐっ、あ、あぁっ、あ、う、ん……っ、あ、あ゛、いっ、あっあー!」
何度も同じように腰を引いては打ち付けるを繰り返すと、何度も佐登が絶頂を迎えて喉を晒した。鴎外が屹立を抜き差しするたびに、普段の佐登が聞いたのならば恥ずかしくてすぐに耳を塞いでしまうだろう水音がぐちゅ、と結合している秘部から聞こえてくる。
「ひぁっ、あ、い、イ、っ、〜〜〜〜!!!」
声も出ないほどの強い絶頂に佐登は背をのけぞらせて、目を見開いた。小刻みに痙攣したかのように震え、強く膣を締め上げるせいで、鴎外も達すると薄いゴムの中に白濁を吐き出した。その余韻ですら、佐登は達しているのか全く膣の力が緩まることはなく、ぎゅうぎゅうと鴎外を締め上げている。
「あ……ああっ、あ゛、……あっ、……うン……っ」
「ふふ、気持ちよかったねぇ」
「あー……あ…………は、い…………」
ぐったりと、弛緩した体は鴎外に支えられている。鴎外の屹立が入ったまま、ぐったりとその体を預けている佐登は蕩けた笑みで鴎外を見上げた。鴎外が気持ちよかった、というその事実が佐登にはたまらなく幸福でならなかったのだ。
「……っ、ふぁ、」
佐登の中で、鴎外の屹立が震えた。まだまだ達している最中の佐登はそれだけで甘い声をあげて、縋り付いている鴎外にさらに寄りかかってしまう。
「ん……っ、あ、おーがい……さん、の。また、……んぁっ」
「ダメ……?」
「ず、るい……っ、その、言い方はずる、い……んんぁっ!」
鴎外は佐登の中から、自身の屹立を引き抜くと、手早くゴムを交換した。佐登をぐるりとひっくり返してソファに伏せにさせると、その上に覆いかぶさった。ひっ、と佐登が怯えた声をあげたのを聞いて、くすりと笑う。
「大丈夫だよ、多分、明日は起きられるよ」
「あっ、そ、そうじゃな……ひぁぁああっ、」
一気に奥まで押し込まれるが、すでに鴎外を受け入れた後の膣はあっさりと鴎外を奥へと導いた。先ほどよりも深く、繋がる体勢に佐登は一度で達してしまい、その後、何度も奥を穿たれ、その度に絶頂を迎えた。
「あ、ああっ、あ……ひっ、イ、イっ、ちゃ、う、も、もぅ……イく、のや……ああぁっ!」
「はっ……暮、んっ」
がつがつと佐登を貪るように鴎外は腰を振った。まるで発情している犬のようだな、と心の中で自分が嘲笑っているような気がしたが、その思考はすぐに快楽にとろける佐登の顔を見て吹き飛んだ。
首だけで振り返って、鴎外を見つけると藍色の瞳がとろりと甘い色に蕩ける。鴎外に奥を穿たれて、快楽にその身を震わせて、何度も鴎外の名を呼んでいた。引き抜こうとすれば、甘く強請るように締め付け、さらに奥へと導いていくのだ。
「ひぐっ、ひっあっ、あああっ、イ、くぅ、イく……っ〜〜!!」
鴎外に思い切り腰を打ち付けられると佐登は視界が真っ白になってしまうかのような、強く、長い絶頂を迎えた。経験上その快楽を迎えると駄目なのだ。どの道鴎外に抵抗などできないのだが、一度この快楽を迎えてしまうと、もう快楽から降りてこれない。まともに声を上げることもできなくなり、ただ、声にならない声を震わせて、鴎外の屹立をきゅうきゅうとしめつけるだけだ。
「あ゛っ、ああっ、……ぅンっ」
腕に力が入らないせいで、腰だけが上がっている恥ずかしい体勢ということにも気づいていない佐登を見て、鴎外はくるりとひっくり返すと、顔を向き合わせて、最奥を穿った。
「あ゛っ、ああっあ゛ー……っ」
「……くっ、」
その震える体に思い切り腰を叩きつけて、鴎外もまた絶頂を迎えた、白濁を吐き出した。
* * *
「……暮、機嫌を直してくれない、かなぁ」
寝台に寝そべりながら、鴎外は苦笑した。佐登は広い寝台の真ん中でむっつりと頬を膨らませて横になったままだ。完全に機嫌を損ねてしまったのは明白で、鴎外はどうしようかな、と寝ている佐登の頭を撫でる。
「…………恥ずかしかったです」
「うん」
――――でもそれが気持ちよかったんだよね、などと口走ってはいけない。口走ってはしばらく触らせてもらえなくなるのは火を見るよりも明らかだからだ。
「あのドレスは、絶対二度と着ませんから」
「わかったとも」
よしよし、と頭を撫でると佐登は胡乱な瞳を鴎外に向けながらも、頭を撫でる手が心地良かったのか、うっとりと目を細める。
(そういうところだよ、暮)
鴎外はそんな佐登に口付けを落としながら、思うのだった。
佐登が吐息を零しながら、恥ずかしげに身をくねらせた。
鴎外の唇が佐登の肌を掠めては離れていくのが擽ったくもあり、佐登の性感を煽っていく。だんだんと体が熱くなっていくに伴って、白い肌が少しずつ薄桃へと染まっていき、視覚的にも鴎外を楽しませる。
ふふ、と鴎外の愉しげな声が佐登の耳を擽った。佐登の僅か下から聞こえてくるのは、佐登が今鴎外の膝の上に乗せられているからだ。愉しげな彼の声を聞いて、羞恥に堪らず頬を赤く染めて、恥ずかしげに涙を溜めて見下ろす。腰あたりを撫でる手つきはいつものような優しいものではなく、どこか妖しげに佐登の体を昂らせて、指が通るたびに素直に、びくりと腰を震わせてしまう。
「は……あ、ん……っ、お、鴎外、さん、んっ」
いつもとはちがう、いわゆるチャイナドレスと呼ばれるものに身を包んでいる佐登だったが、露出が高い。胸元は透ける素材で谷間がはっきりと見え、背中は惜しげもなくあらわになり、大胆に開かれた足のスリットはすでに足の付け根も見えそうなほどだ。ドレスと一緒に置かれていた黒い下着の紐が時折、鴎外の指にかかって、引っ張られると脱がされるのではないかと不安になった。
鴎外の唇が、服越しに佐登の胸の頂を挟んだ。ひ、と震えた声をあげ、佐登は首を振った。
「だ、だめです……っ」
「どうして?」
「だ、だって、こんな、こんなの」
恥ずかしい。そう訴えかけると、鴎外はくすりと笑った。鴎外の手が佐登の唇に触れると、真っ赤な口紅がその手袋に色が移ってしまう。白い手袋を、汚した赤い口紅があまりにも淫靡に見えてしまい、佐登はごくり、と喉を震わせた。
「もっと恥ずかしいことしたら、どうなっちゃうんだろうねぇ」
「あ、だ、め……っ」
ついに、下着の紐が鴎外の指につままれて解かれた。しゅるり、とあっさりと解かれてしまい、安定感をなくした下着はあっという間に佐登の膝下へ落ちた。あ、と声を上げると、鴎外の手がドレスの上から佐登の尻をそっと撫でた。
「……んっ、鴎外さんっ、」
「ふふ。恥ずかしい?」
「あ、パンツ……返してぇ……っ」
いやいやと首を振って、鴎外に訴えるが鴎外はくすくすと喉を震わせるだけだった。もう恥ずかしくて、恥ずかしくて、佐登の青い大きな瞳からポロポロと涙がこぼれ落ちる。
このドレスはようするに「鴎外のお楽しみ用」という奴だ。
佐登が着るにはあまりにも大胆な意匠で、普段なら絶対に断るが、二人きりの時に、恋人の鴎外からお願いされて手渡されてしまうと、佐登はなかなか断れなかった。明らかに情事に耽るための衣装だ。下着は渡されたパンツ以外は身につけることも出来ず、大胆に開かれた背中はあまりにも無防備だった。
「……暮」
鴎外に名前を呼ばれて、佐登は顔をあげた。あまりにも大胆な衣装を着せられた恥ずかしさと断続的に与えられる快楽によって佐登の表情はいつもよりも蕩けた甘い表情をしていて、鴎外は無意識の内に喉を鳴らした。
「嗚呼、君はなんてずるい子なんだろう」
「ふぁ……っ、ん、」
佐登を引き寄せて唇を塞ぐ。鴎外の唇にも佐登の赤い口紅の色が移るがそんなことは気にせず、全て喰らい尽くしてしまうような情熱的な口付けをかわす。腰も強く引き寄せれば、互いの体のすきまはまったくなくなって、薄い絹の服越しに互いの体温がよくわかった。
「んっ……んんっ、ふぁ……あ、んっ」
しっとりと濡れている舌をからめとって、強く吸い付くと佐登が反射的に足を閉じようとしたのか鴎外の脇腹付近に心地よく太ももがあたり、ぎゅうぎゅうと締め付けた。愉しげに笑いながら、その露出された足をゆるゆると撫でると、佐登の舌がびくん、と震えて、堪らず逃げようとするからそれを追いかけて、鴎外は佐登の口内のさらに奥まで侵入した。
次第にとろり、と蕩けて、佐登はもう抵抗など出来なかった。むしろ、理性よりも先に飛び出してきた本能が、この先の鴎外から与えられるだろう甘い快楽を期待して、体の奥からジワジワと熱を持たせてくる。熱が高まれば高まるほどに思考は鈍って行って、ついに自分から縋り付くようになる頃に、ようやく佐登は鴎外の口付けから解放された。
「ぷは……っ、はぁ……ん、あ……ぁ、」
もう、口付けは終わりなのだろうか、と寂しげな顔をした佐登をみて、鴎外は片手をするりと絹ごしに尻を撫でた。先程の抵抗とは打って変わって、あ、と僅かに期待のこもった声を上げられれば、つい口の端が持ち上がった。
「おや、もう恥ずかしくないかな?」
「〜っ、い、意地悪、言わないで……っ」
スリットの隙間から手を差し入れて、下着をつけていない尻をなで、割れ目を指でそっとなぞった。
「あっ、んっ、ああっ……っ、ひぁ……っ」
恥ずかしいせいもあったのだろうが、すでに鴎外との行為にすっかりと慣らされている佐登はしっとりと秘部を濡らしていた。膣から溢れ出ているであろう愛液が、鴎外の手袋を濡らした。
「はしたないねぇ」
意地悪く、鴎外がそういえば、佐登はさっと青ざめて鴎外へ視線を落とした。
「あ、あっ……ご、ごめん、な、さい……っ」
「怒ってないよ。むしろ、私としては好都合だよ」
「え……? あ、ああっ、ひんっ!」
予告なく、指が二本、佐登の中に挿し入れられる。泥濘んだ秘部はあっさりと鴎外の指を受け入れて、襞を震わせていた。まるで生娘のようにきゅうきゅうと鴎外の指を締め付けるそこに、鴎外はここに自身の屹立を入れた瞬間を想像して、堪らなくなった。だが、まだだめだ。彼女を傷つけることはあってはならないのだから。
「ほら、肩に手をついて。腰だけ少しあげてごらん」
片手で、腰を撫でながら鴎外はそういった。
「あ、……はっん…………んんっ、」
両手を鴎外の方へ移した佐登が恥ずかしそうに目を伏せながら、腰を上げた。鴎外の指が動かしやすいように膝をついて、腰だけを上げる体勢に堪らず、再び涙を零してしまった。少し腕を突っ張っているせいで、鴎外の顔の近くに佐登の胸があるせいで、鴎外の吐息が佐登の肌を擽った。鴎外は顔を胸に近づけると、唇を押し当てて、ちゅうと強く吸いながら、佐登の中の指を動かし始めた。
「あっ、ひぁ……っ、あ、そ、こ……そこ……っ、だ、めぇ……っ」
「ここ気持ちいいのに? 暮、好きでしょ?」
駄目じゃないよね、と佐登の膣内の一点を指でぐり、とえぐった。
「ひっ、あ、や、やだぁっ、あ、ああ、き、きもっ、ちいい、から、だめぇっ! い、イっちゃ、うっ、イっちゃうからぁっ、あ、ああ、あああっ!!」
そこばかり執拗に攻め立てれば、鴎外の肩を掴んでいた佐登の手に強く力が入る。膣が一際強く締まったかと思えば、佐登の体がびくんびくんと何度も痙攣し、次第に力が抜けてくるとゆるゆると鴎外の元へ倒れてくる。
「はっ……あぁっ…………」
「ふふ、イっちゃったねぇ。気持ちよかった?」
両手を太腿の付け根に添えられながら、鴎外が佐登の額や頬に何度も口付けを落とす。それすら敏感に快楽として拾う佐登は都度、甘ったるい声を上げている。
「お、がい……さ、っあ、やぁっ、あ、んっ!」
再び指を二本、膣の中へ押し込まれると、佐登は鴎外に縋り付いた。達したばかりの敏感な膣は鴎外の指に合わせて、引き抜かれそうになればきゅうきゅうと締め上げ、中へと押し込まれるときにはゆるゆると泥濘んだ。
「ひぃ、んっ、あっ、ああっ、も、い、く、いくぅっ、んんぅ、」
「ふっ……ん」
口付けながら、何度も佐登を指で達せさせる。とろとろと濡れた秘部から、伝って太腿を濡らした佐登は必死に鴎外に縋り付きながら、堪らない快楽に身を委ね始めていた。段々と抵抗の言葉が少なくなってくる頃に、鴎外は佐登の耳にふぅ、と息を吹き込む。
「ふっ、あ……っ、」
「ねぇ、暮。私も、気持ちよくなりたいなぁ」
佐登の手を片手、鴎外は自分の屹立の元へ導いた。佐登の甘い嬌声と、白い肌を震わせる痴態にすっかりと硬さを持って、ズボンの中で窮屈そうにしているそれを掌で感じた佐登は一瞬目を見開いたが、それが自分の中に入ることを想像したのだろう、小さく唾を飲み込んだのが鴎外にはわかった。たっぷりと唾液に濡れて、てらてらとひかる唇が小さく噤まれたのがその証拠だ。
「暮が触ってくれる?」
「あ……っ、は、はい……っ、」
くたりと鴎外にしなだれかかっていた体をなんとか起こした佐登は鴎外の膝の上から降りて、鴎外の隣に膝をついて、四つん這いになった。ズボンの中で窮屈そうにしているそれをまずはズボン越しにゆるゆると手で撫でると、鴎外が優しく頭を撫でてくれた。
「は……っ、あっ、も、硬い……っ」
「だって、暮がとってもえっちだから」
「ひぁんっ、」
手持ち無沙汰だったらしい鴎外の片手が佐登の尻を撫でる。わざと核心は避けて、ゆるゆると尻たぶだけを撫でていく。そんなもどかしい快楽に悶えていると、鴎外の視線が佐登に突き刺さる。佐登は震える手で、鴎外のズボンと下着に手をかけると、鴎外の屹立を取り出した。
「ふぁ……っ、ん、鴎外さん……っ」
「ん? 前にやり方は教えてあげただろう? やってごらん」
ほら、手で、ね。
鴎外に促されて、佐登はゆるゆると、手で鴎外の屹立を撫でる。佐登の手には少し大きいそれを上下に手を動かして扱いていく。時折親指で、屹立の鈴口付近を刺激するとびくん、と屹立が揺れる。
「上手じゃないか、暮。そのまま……っ、続けて?」
「は……い」
鴎外が気持ちよさそうに眉を顰めるのを見て、佐登はたまらなく嬉しくなった。鴎外の屹立からこぼれ落ちてくる先走りを潤滑液にして、少し動きを早めると鴎外の腰がびくりと震えた。
「んっ……暮、もういいよ。ありがとう」
「あ……っ、」
手を離すように促されて、佐登は少し残念そうにしながらも、鴎外に言われた通りに手を離す。この従順さが鴎外は嫌いではなかった。よしよし、と頭を撫でてやり、佐登に手を出すように促す。そして、その手に、避妊具のゴムを置いた。
「できるね?」
鴎外に耳元で囁かれて、佐登はふるりと体を震わせた。そして、鴎外にじいっと見つめられ、さらに膣の奥がとろりと濡れたような気分にさせられながら、小さく頷いた。震える手でゆっくりとゴムの封を切ると、鴎外の屹立に被せていく。よくある蛍光ピンクのそれにすっかりと包まれてしまったそれを一度見て、佐登はゆるゆると鴎外を見上げた。
「で、きました……」
「よくできました。じゃあ、ご褒美をあげないとね。――――おいで」
鴎外の言葉には逆らえない。というよりも、逆らおうという意志が今の佐登にはないので、佐登は言われるがままに再び鴎外の膝の上に跨った。
「……あっ、……鴎外、さん……」
「どうしたの?」
「い、いえ……」
なんでもありません、と口ごもった佐登を見て、鴎外はくすりと笑う。快楽に任せて早く、と強請ってしまえばいいものを。ほんのちょっとのところで理性に邪魔される。そんなことを言ってはいけないのではないか、と思ったのだろう、目を逸らした佐登の手を自分の肩に再度導いて、そのまま力を抜いているようにいうと、佐登は頷いた。
秘部の入り口に鴎外の屹立が触れると、佐登はびくん、と体を震わせ、一度腰を引き掛けた。
だが、鴎外の手が腰をしっかりと掴んでそれを阻む。逃げられなくなると、佐登はふぁ、と甘い声をあげて腰をくねらせる。それに構わず、鴎外はゆっくりと佐登の中へと屹立を押し進めていった。
「ふぁ……あっ、ああっ、ん……おお、きぃ……っ」
ぎゅう、と佐登の中が屹立を強く締め付けた。何度も何度も鴎外を受け入れているはずなのに、この瞬間ばかりは未だに慣れない。強い快楽が腰から背を上がって、脳を蕩けさせていく感覚に恐怖すら感じる。
「ひっ、あ、ああっ」
鴎外に導かれるままに腰を落としていった佐登の膣が一際強く締め付けた。どうやら、軽く達してしまったらしい。達したことを申し訳なく感じたのか、それとも恥ずかしかったのか佐登がごめんなさい、と喘ぎに混ぜながら何度も告げてくる。
「謝らなくていいんだよ、気持ちよかったんだね」
「ふぁっ、ひ……っ、ひあ………あ、っ、あ、き、もち……っ、い、い……っ、で、すぅっ!」
最奥まで鴎外の屹立が収まると佐登は鴎外に縋り付かなければ体勢を維持できなくなっていた。膣はしっかりと鴎外の屹立の形に開拓されており、達したせいで断続的に締め上げ、鴎外は一度、顔を顰めた。
「ん……っ、ああ、暮、気持ちいいよ」
「あっ、ぅンっ、あ……あ゛ぁっ、ま、ってっ、まってぇ……っ」
何度も達したせいで、すっかりと子宮口が降りてきており、鴎外が腰を擦り付けるように何度もそこを先端で刺激すると佐登は今までとは明らかに段階の違う声をあげた。その様子を眺めながら、鴎外は一度腰を引いて、子宮口から先端を離した。それを見た、佐登が安心したように表情を緩めたが、すぐに強く腰を打ち付けた。
「ひぐっ、あ、あぁっ、あ、う、ん……っ、あ、あ゛、いっ、あっあー!」
何度も同じように腰を引いては打ち付けるを繰り返すと、何度も佐登が絶頂を迎えて喉を晒した。鴎外が屹立を抜き差しするたびに、普段の佐登が聞いたのならば恥ずかしくてすぐに耳を塞いでしまうだろう水音がぐちゅ、と結合している秘部から聞こえてくる。
「ひぁっ、あ、い、イ、っ、〜〜〜〜!!!」
声も出ないほどの強い絶頂に佐登は背をのけぞらせて、目を見開いた。小刻みに痙攣したかのように震え、強く膣を締め上げるせいで、鴎外も達すると薄いゴムの中に白濁を吐き出した。その余韻ですら、佐登は達しているのか全く膣の力が緩まることはなく、ぎゅうぎゅうと鴎外を締め上げている。
「あ……ああっ、あ゛、……あっ、……うン……っ」
「ふふ、気持ちよかったねぇ」
「あー……あ…………は、い…………」
ぐったりと、弛緩した体は鴎外に支えられている。鴎外の屹立が入ったまま、ぐったりとその体を預けている佐登は蕩けた笑みで鴎外を見上げた。鴎外が気持ちよかった、というその事実が佐登にはたまらなく幸福でならなかったのだ。
「……っ、ふぁ、」
佐登の中で、鴎外の屹立が震えた。まだまだ達している最中の佐登はそれだけで甘い声をあげて、縋り付いている鴎外にさらに寄りかかってしまう。
「ん……っ、あ、おーがい……さん、の。また、……んぁっ」
「ダメ……?」
「ず、るい……っ、その、言い方はずる、い……んんぁっ!」
鴎外は佐登の中から、自身の屹立を引き抜くと、手早くゴムを交換した。佐登をぐるりとひっくり返してソファに伏せにさせると、その上に覆いかぶさった。ひっ、と佐登が怯えた声をあげたのを聞いて、くすりと笑う。
「大丈夫だよ、多分、明日は起きられるよ」
「あっ、そ、そうじゃな……ひぁぁああっ、」
一気に奥まで押し込まれるが、すでに鴎外を受け入れた後の膣はあっさりと鴎外を奥へと導いた。先ほどよりも深く、繋がる体勢に佐登は一度で達してしまい、その後、何度も奥を穿たれ、その度に絶頂を迎えた。
「あ、ああっ、あ……ひっ、イ、イっ、ちゃ、う、も、もぅ……イく、のや……ああぁっ!」
「はっ……暮、んっ」
がつがつと佐登を貪るように鴎外は腰を振った。まるで発情している犬のようだな、と心の中で自分が嘲笑っているような気がしたが、その思考はすぐに快楽にとろける佐登の顔を見て吹き飛んだ。
首だけで振り返って、鴎外を見つけると藍色の瞳がとろりと甘い色に蕩ける。鴎外に奥を穿たれて、快楽にその身を震わせて、何度も鴎外の名を呼んでいた。引き抜こうとすれば、甘く強請るように締め付け、さらに奥へと導いていくのだ。
「ひぐっ、ひっあっ、あああっ、イ、くぅ、イく……っ〜〜!!」
鴎外に思い切り腰を打ち付けられると佐登は視界が真っ白になってしまうかのような、強く、長い絶頂を迎えた。経験上その快楽を迎えると駄目なのだ。どの道鴎外に抵抗などできないのだが、一度この快楽を迎えてしまうと、もう快楽から降りてこれない。まともに声を上げることもできなくなり、ただ、声にならない声を震わせて、鴎外の屹立をきゅうきゅうとしめつけるだけだ。
「あ゛っ、ああっ、……ぅンっ」
腕に力が入らないせいで、腰だけが上がっている恥ずかしい体勢ということにも気づいていない佐登を見て、鴎外はくるりとひっくり返すと、顔を向き合わせて、最奥を穿った。
「あ゛っ、ああっあ゛ー……っ」
「……くっ、」
その震える体に思い切り腰を叩きつけて、鴎外もまた絶頂を迎えた、白濁を吐き出した。
* * *
「……暮、機嫌を直してくれない、かなぁ」
寝台に寝そべりながら、鴎外は苦笑した。佐登は広い寝台の真ん中でむっつりと頬を膨らませて横になったままだ。完全に機嫌を損ねてしまったのは明白で、鴎外はどうしようかな、と寝ている佐登の頭を撫でる。
「…………恥ずかしかったです」
「うん」
――――でもそれが気持ちよかったんだよね、などと口走ってはいけない。口走ってはしばらく触らせてもらえなくなるのは火を見るよりも明らかだからだ。
「あのドレスは、絶対二度と着ませんから」
「わかったとも」
よしよし、と頭を撫でると佐登は胡乱な瞳を鴎外に向けながらも、頭を撫でる手が心地良かったのか、うっとりと目を細める。
(そういうところだよ、暮)
鴎外はそんな佐登に口付けを落としながら、思うのだった。