『また振られた』
「会長学ばないね」
『花言葉で告白する男子じゃないからなー』


うお。副会長めっちゃ睨んでくる。あくまでゲームの話なのに。
そんな視線を無視してせっせと海原祭の申請書類に目を通す。

中高大と合同でやる分、講堂やグラウンドの使用希望の兼ね合いがめんどくさい。
予算を持っているのは明らかに大学部。テントもステージも、大学生がとっていってしまう。明らかに中高のほうが参加人数多いというのに。
クオリティだって、中学なんてレベルが知れてる。

それに今年の大学部の自治会長も祭実行も性格が悪い。
もう同日開催なだけのそれぞれの敷地でやればいいのに。
毎年毎年、大学のほうは飲酒の許可を求めて抗議起こしてるんだから、中高と切り離したほうが賢いと思うのだけど。


「そういえば姓って、切原とどうなの?」
『どうって、何?』
「向こう、あんたのこと好きみたいじゃん」


もう大ステージと講堂とテントは抽選にしろと抗議しようかと、考えていると、副会長から思いもよらない言葉が飛び出してきた。
するりと手から落ちそうになるボールペンを強く握った。


切原くんとは放課後にゲームしたり、海原祭実行になったらしく最近は関わることが多くなった。
よく話しかけてくれる可愛い後輩だなと思っていた。柳くんや幸村くんが可愛がる理由がよくわかる。


「名センパーイ」
『切原くん、ノックはしなさいよ。一般生徒に見せられない書類とかあるからね』
「ッス。で、これなんですけど」


調理室の備品の確認書類。教室での飲食系の模擬店はそこでなまものや火を使えないために調理室を使う必要がある。
調味料やラップなどの消耗品は学校が用意するために、どれくらいのクラスが使うか把握した上で発注する必要がある。


書類を見せる切原くんはわたしに身体をピタリとくっつけて一緒に覗き込む。

さっき副会長の言葉が気になる。
切原くんに懐かれている自信はあるけれど、恋愛的な好意を持っているかそこまではわからない。


『うーん、タバスコは各自で用意してもらって。冷蔵庫だねぇ、問題は』
「1日分が限界っすよね」
『なまものは置き去りにされたくないしね。あとどこのクラスの食材かわかるようにカゴにいれてもらうか』


監督の実行委員や先生も配置したりしないと。
歴代の生徒会長はこんなことをしてきたんだなぁ。海原祭が終われば引き継ぎに入る。去年、引き継いだときはこんなこと思いもしなかったし、それなりに仕事できてるのかもわからない。


「あ、そうだ。俺もうすぐ誕生日なんスよ!」
『そうなの?いつ?』
「25日なんで、よろしくお願いします!」


そう言って生徒会室か出ていた切原くん。元気な子だな。


あのよろしくはプレゼントくださいってことなんだろうな。
一つため息を吐けば、副会長がニヤリと笑った。ちょっとムカつく。


『切原くんの机にお花置いといたらいいのかな〜?』
「プレゼントはわたしのほうがネタとして面白いと思うよ」
『それ幸村くんのために使いな。譲るわ』


ギロリと睨まれた。おー怖い。


しかし、男子中学生は何が嬉しいのだろうか。無難にお菓子とか。テニスウェアとか。
これが欲しいとかもっと図々しく言って欲しかったな。