『あわわわ』
「これは、ヤベェ……」
朝一番で買ってきた女性向け雑誌のグラビア。ドキドキしながらページをめくり、赤也と一緒に雑誌を覗き込む。
夢なんじゃないかと疑い、一度雑誌を閉じてからまた開く。
夢ではない。今をときめくイケメンモデルとなった幸村精市の超セクシーなグラビアがそこに掲載されていた。
U-17に中学生代表選ばれた時だった。高校生の君島さんに誘われ、読者モデルとして雑誌に載せられていた精市。
ネットで噂となり、瞬く間に女性から圧倒的な支持を得て、テニスに明け暮れる合間にモデルの仕事をバイト代わりに始めた。
ファッションモデルがいつのまにか、テニスで鍛えた肉体を生かしたセクシー派モデルへ。
裸で寝起きの姿や、シャツを羽織るだけの姿、マグカップを二つ持って微笑む姿やら。
赤也もドキドキしているくらい、精市は17歳であることが信じられないくらい色気を出している。
直視なんてできないくらいドキドキするけど、なんだか少し違和感がある。
修正とか加工とかそういうのじゃなくて、なんだろう、精市自身の色気じゃない気がする。
『これ、精市なのかな?』
「え、こんなんじゃないんですか?」
『もっと精市は穏やかな感じ。こんな妖艶な感じじゃなくて、何言わせてんの!』
「イデッ!」
思わず赤也の背中を叩いた。思いの外強く叩きすぎたのか、ベチンという音と赤也は背中を丸めて悶えていた。
この肌蹴た服で仰向けでベッドに寝転んでいる姿。ちょっと強気な表情は精市っぽいんだけど、仕草とかが精市っぽくない。モデルだし、ある程度カメラマンやプロデューサーの指示もあるんだろうけど。
「そりゃあ、名の真似をしてるんだし、本当の俺の顔とは少し違うよ」
ずしりと背中に重さがかかり、後ろから回ってきた腕が首に絡まる。
赤也は驚いて雑誌を床に落とした。
今日は井上さんの取材で部活に顔を出せないと言っていたのに、突然現れるから、わたしも内心ドキドキしている。
「姓先輩の真似?」
拾い上げた雑誌とわたしの顔を見比べて赤也は首をかしげる。
「幸村先輩の前ではめっちゃエロいんすね」
「コート入れ赤也」
「ひぃぃい!」
赤也は雑誌をわたしに押し付けて逃げ出してしまった。そんな赤也を追いかけることなく、精市はわたしに抱きついていた。
パラパラと雑誌をめくり、改めてグラビアを眺める。
わたし、こんな顔してるの?そんなはずはないと思っても、顔が熱くなっていく。
シてるときも真顔や笑顔ではないと自覚しているけど、こう……なんて言うんだろう、誘ってる顔はしていないと思う。
「名も自分の顔が見られないように、俺も俺の顔が見えないの」
じっくり見られるのが恥ずかしいのか、雑誌を取り上げられ、机に放った。
また後で見てやろう。
「でもさ、俺がどういう顔してるか気になるな」
すっと体温が下がった気がした。いや、多分下がった。さっき恥ずかしさで熱くなっていたので、ただ平熱に下がったというわけではなく、平熱よりさらに下がった。
「ビデオ回してみようか。なら、名の顔も確認できるね」
にこりと精市は笑った。後ろにいるから見えないけれど。
嫌だ無理だと言う前に抱きかかえ連れ去られる。色々終わったかもしれない。