「あっ」
『んっ』
名のスカートが風でひるがえる。かなりきわどいところまでめくれた。
咄嗟に前と後ろを両手でスカートの中に舞い込んだ風を押し出した。
『見た?』
「太もも白いね」
名も一応女の子なんだな。そういうの気にして。個人的にパンツが見えなかったのは残念だ。
規定通りの長さのスカートがあれほど捲りが上がるんだ。多分、他にも被害者はいるのだろう。
まぁ、こんなペンキは剥がれかかった錆びた金属の非常階段を上がる人なんて俺たちの他にはいないだろうけど。
俺の前を昇る名のお尻が丁度目の高さだから、見える見えないのボーダーラインにいたのか。
あと数段低ければ見えたのかもしれない。
名の脚は白いと思っていたけど、ハーフパンツやスカートで太陽に直接当たらない太ももはきっと本来の肌の色に近いのだろう。
日焼け止めを塗っていてもぼんやりとついた肌の境目に妙に欲情する。
改めてまじまじと名の脚を見る。
程よく筋肉がつきながらも、薄く脂肪のついた産毛さえも見つからない脚。
膝までスカートで隠れ、段を上がるごとに膝裏が見え隠れする。
ハイソックスは好まず、クルーソックスまで。肌を晒している。あ、虫刺され。痒そう。
『男の子って生脚を好きなの?』
踊り場に立ち振り返った名がふくらはぎをさすりながら、困ったように笑った。視線がくすぐったかったらしい。
「好きだね。スカートでテニスしてる姿とかプレーより気になるよ」
『邪すぎ』
「名はどうだったの」
『わたし?ユニフォームはスカートだったな』
「へぇ。というか、プレーより脚が気になるのはウソだよ。普段見えない脚が見えるから最高なんだよ」
『変態度上がったけど』
「みんなそうだよ。見えないから見たくて脱がせたいんだ」
『肌を出さないのも問題だな』
「うんうん。明日から膝くらい見せてよ」
『部活で見てるじゃん』
「そうじゃなくて……部活中にスカート切っておいてあげる」
『え!?』
「冗談」
制服って高いし、名が来年面接がないとは限らない。
きちんと制服を着ることは当たり前とはいえ、もう少し可愛く見せてくれてもいいんじゃないかなぁ。
非常階段から屋上へ。さらに強い風が吹き抜けた。
とっさに名はスカートの前を押さえたけど、逆効果だったみたいで、マリリンモンローもびっくりなくらい舞い上がった。
「オレンジのチェックか〜。白とかピンクとかないの?」
『見せるために履いてるんじゃないの!』