あー!あの後すぐ柳生くんからお返事来てたんだ。
何律儀に校則守ってるの!トイレでこっそり電源を入れて返信しておくんだった。


放課後、ホームルームが終わりいつものように溜まったメルマガを開封せずに消していたら柳生さんのメールもうっかり消しそうになった。


《よろしければ、どこかへ出掛けませんか?》


びっくりして椅子と共に後ろへひっくり返った。後頭部打った。
まだ我先にと部活へ飛び出して行った連中以外は教室に人がいるため、恥ずかしい思いをする羽目になった。


喜んで!ちょっと違うな。どこか素敵なところへ連れて行ってください!は重いし、頼りすぎでしょ。行きたい所も聞かれてもないのに提示するのも……。
恋愛経験がないって不便!


《柳生さんとゆっくりお話ができたらいいなと思っていたので、とっても嬉しいです!》


一足先に姓さんの授業が終わったのか、私のホームルームが終わる前に携帯電話が震えた。
担任の合図で今日のカリキュラムが終了すると同時に、メールを確認した。

自然と頬が緩むのがわかる。幸村くんや仁王くんあたりは今の私を見ると笑うでしょうね。


《では、まだ少し紅葉には早いかもしれませんが、自然公園にでも行きませんか?
それほど遠い場所ではないですし、いかがですか?》


今度は机におでこを叩きつけた。夢ではない。


《是非!なら、お昼ご飯とおやつ持っていきますね》


「たるんどるぞ!柳生!集中せんか」
「はい。少し走ってきます」
「珍しいな、お前が浮かれているのは」
「少し良いことがありまして」
「む、そうか。しかし、練習には持ち込むな」


姓さんのお弁当とお菓子ですよ。にやけずにいられますか!結構重症ですね、私。


デートの約束も取り付け、あとはどんな服装で行くかですね。
変に気取るより、私らしい格好をすることが一番なんでしょうけど、姓さんの好みにも合わせたいですね。
相手を知るためのデートなんでしょうけど。

ああ、恋愛経験がないことが煩わしい。ゼロではありませんが、私から好意を寄せるのは小学生以来です。


意味ありげに遠くから笑う丸井くんと仁王くんの視線が鬱陶しいですね。
どれだけ速く走っても、頭にまとわりつく悶々とした感情は吹き飛んでくれない。


「張り切ってんな、柳生」
「お、ジャッカル!名とデートらしいぜ」
「約束できたのか。上手くいくだろうな」
「休み明けが楽しみだな〜」