「幸村くんがプロになったらなんかしてやるの?」
『特に』
「冷たいのぉ」
幸村に家まで送ってもらって次の日から学校で見かけなくなった。丸井と仁王によればプロになるために、現在開催されているアマチュアの試合に出場しているらしい。
プロになるシステムはよくわからないけど、ランキングに載ってようやくプロになれるらしい。
柳がシステムを教えてくれたけど、更々興味のないわたしも、丸井も仁王もちんぷんかんぷんだった。
柳が幸村と真田が出ている大会のトーナメント表からプロになれる確率を導き出したらほぼ確実にプロなって戻ってくるらしく、祝賀パーティーをしようという話になっていた。
関係のない話だろうと聞き流していれば、わたしも参加する方向で勝手に話が進んでいて、丸井と一緒に家庭科室でケーキを作る話になっていた。
まぁ、それくらいならしてやろう。
「ふぅ、怒涛だったね」
「アマチュアとはいえ、やはり強いな」
「そうだね。真田とブロックが違うとはいえ、確実にぶつかるとは思っていたけど」
社会人から俺たち高校生まで登録されたこの大会は中々強者揃いだった。
俺たちが10年に一度の逸材ばかりの時代と言われているが、大人に混ざればそう大差もない。
4ブロックに分かれたトーナメントでの結果次第で日本のランキングに食い込み、プロとして試合に出られるらしい。
俺も真田も、手塚に並んでプロに近い中学選手と言われていたけれど、去年同じ日本代表として戦っていた先輩方も入り混じったこのトーナメント。正直、ベスト16にさえなることも厳しかった。
中高の公式戦の勝率も加味されるため、とりあえずプロになれたと言う感じだ。
真田さえもボロボロになっていると言うのに、休んだ分の課題を取りに来いって先生も中々鬼畜なことをしてくる。
結果報告と課題を受け取り、部活のみんなにも報告するために部室まで来た。と、言っても今日はミーティングだけだし、自主練してる奴らに伝えられたらいいだけかな。
名もう学校にはいないかな。口できちんと、噂として耳に入るんじゃなくて、俺の口から伝えたいんだけどな。